第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
「最初からこうすれば良かったのよ!インセンディオ!」
アリアネはバジリスクへと攻撃した。
その攻撃はバジリスクへと命中し、バジリスクは痛みに更にのたうち回り始める。
そしてアリアネはハリーを庇うように立った。
「ハリー、私がバジリスクをなんとかするわ!だから貴方はリドルをなんとかしてちょうだい」
「そんな、無茶な!危険だ!」
「平気よ。貴方が死なないようにするから」
そう言いながらアリアネは微笑んだ。
「コンフリンゴ(爆発せよ)!」
「流石、フリート家。どんな呪文も得意とする優秀な一族の血を持っているだけあるね。フリート家は魔法族の旧家であり、伝説の英雄、ジークフリートの血を持つ一族。不老不死の血を受け継ぐ者であり、火炎系の魔法を得意としていた……。流石だよアリアネ」
にっこりとリドルは笑みを浮かべる。
「だけど、そんな攻撃じゃバジリスクは殺せない。残念だったね、アリアネ」
「それは、どうかしらね!」
アリアネはのたうち回るバジリスクを避けながらも、何度も呪文を放っては攻撃していた。
その時、ハリーをちらりと見れば何故か彼の手には帽子が握られていて、その帽子の中からは眩い光を放つ銀の剣かま出ていたのだ。
(銀の剣……?)
柄にはルビーが輝いている剣。
ハリーはそれを手にしていた。
「小童と小娘を殺せ!鳥にかまうな!小童はすぐ後ろだ!臭いだ、嗅ぎ出せ!」
バジリスクはアリアネに攻撃されたせいで、胴体をハリーの方に捻りながら柱を叩いてのたうち回った。
そしてドクロをくねらせながら鎌首をもたげ、ハリーの方に頭が落ちていく。
「ハリー!」
アリアネが叫んだ時、ハリーは全体重を剣に乗せてバジリスクの口蓋にズブリと刺した。
そしてハリーの腕にはバジリスクの牙が突き刺さっていて、それを見た瞬間アリアネは血の気を引くのを感じた。
「は、ハリー!!」
叫んだアリアネはハリーの元にへと走った。
壁にもたれかかったハリーの前には、ヒクヒクと痙攣しているバジリスクが床に倒れている。
それを無視してアリアネはハリーの元に駆け寄った。
「ハリー!ハリー!……そんな、どうしよう、どうしようっ……!」
「落ち着いて、アリアネ……大丈夫だから」