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シリウスに導かれ【ハリーポッター❈救済】

第9章 トム・リドル【秘密の部屋】


2人は薄明かりの部屋の端に立っていた。
近くには蛇が絡み合うような彫刻を施した石の柱が、上へとそびえ立っている。

「ジニーを、探しましょう」

アリアネの声がわずかに震えていた。
そんな彼女にハリーは頷きながらジニーを探していく。
光がともっている杖を揺らしながら辺りを見渡していれば、燃えるような赤毛に黒いローブの小さな体がうつ伏せになって横たわっているのを見つけた。

「ジニー!」

アリアネはジニーの姿を見つけた途端、彼女の名前を叫んで駆け寄った。

「ジニー!ジニー!死んじゃダメだ!お願いだから生きていて!」
「ジニー、そんな、嫌よ!目を開けてちょうだい!ジニー!」

2人は杖を放り投げてからジニーを仰向けにして、肩を掴んで揺すった。
ジニーの顔色は白く冷たく、目は固く閉ざされているが石にはなっていない。

「ジニー、お願いだ。目を覚まして」
「お願いよ、ジニー。目を覚ましてちょうだい、ジニー……!」

その時、冷たい声が聞こえた。

「その子は目を覚ましはしない」

2人はギクッと体を跳ねさせ、膝をついたまま振り返る。
そこには背が高く、黒髪の少年が柱に背をもたれるようにして立っていた。

「誰……?」
「トム、トム・リドル?」
「……彼が、トム・リドル?」

アリアネは目を見開かせた。
50年前の彼が、少年の姿のままなのとここに居ることに驚いていた。

「目を覚まさないって、どいうこと?ジニーはまさか、まさか?」
「その子はまだ生きている。しかし、辛うじてね」
「……辛うじて」
「君はゴーストなの?」
「記憶だよ。日記の中に、50年間残されていた記憶だ」

リドルはそこにある巨大な石像の足の指あたりを指さした。
そこには黒い日記が開かれたまま置かれてあり、2人は驚いた表情を浮かべる。

「トム、助けてくれないか。ここからジニーを運び出さなきゃ。バジリスクがいるんだ……。どこにいるかはわならないけど、今にも出てくるかもしれない。お願い、手伝って……」
「トム、ジニーをこのままにはしておけないの。手伝ってちょうだい」

2人はトムにそうお願いするが、彼は動こうとはしない。
そんなトムに痺れを切らしたアリアネはジニーを動かし、ハリーも汗だくになってジニーの体を半分床から持ち上げる。

ふと、2人は自分たちの杖が無いことに気がついた。
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