第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
ロックハートは肩で息をしながら、彼の杖を握りしめながら笑っていた。
「坊やたち、お遊びはこれでおしまいだ!私はこの皮を少し学校に持って帰り、女の子を救うには遅すぎたとみんなに言おう。君たち3人はズタズタになった無惨な死骸を見て、哀れにも気が狂ったと言おう。さあ、記憶に別れを告げるがいい!」
「……ロックハート、やめた方がいいわよ」
アリアネは焦ることなく、テープで貼り付けられているロンの杖を見た。
だが彼女の忠告を無視して、ロックハートは叫んで呪文を唱える。
「オブリビエイト(忘れよ)!」
杖は爆発した。
ハリーとアリアネは蛇の抜け殻に躓き、滑るように両手で頭を覆いながら逃げ出す。
トンネルの天井からは大きな塊が、轟音をあげながら崩れ落ちだした。
岩の塊が、壁のように2人の目の前に立ち塞がっている。
向こう側にはロンがいる為、2人は叫んだ。
「ローン!大丈夫か?ロン!」
「ロン!大丈夫なの!?」
「ここだよ!」
ロンの声が聞こえたことに、2人は安堵した。
「僕は大丈夫だ。でもこっちのバカはだめだ。杖で吹っ飛ばされた」
「そう、貴方が無事なら良かったわ」
「さあ、どうする?こっちからは行けないよ。何年もかかってしまう……」
ハリーとアリアネは天井を見上げる。
そこには割れ目ができていて、2人は何とも言えない表情を浮かべた。
「そこで待ってて。ロックハートと一緒に待っていて。僕とアリアネが先に進む。1時間経って戻らなかったら……」
「僕は、少しでもこの岩石を取り崩してみるよ。そうすれば君達が、帰りにここを通れる。だからハリー、アリアネ」
「それじゃ、またあとでね」
「また後で、会いましょう。ロン」
2人は蛇の皮を超えて歩き出した。
トンネルはクネクネと何度も曲がり角があり、2人はゆっくりと歩き進める。
何度目かの曲がり角を曲がった時、そこには壁があった。
「壁……」
蛇が絡み合った彫刻があり、蛇の目には輝く大粒のエメナルドがはめ込んである。
「ハリー」
「うん。開けよう」
2人は壁の前に立って蛇語で唱える。
「「開け」」
壁が2つに避けて、絡み合っている蛇が分かれる。
両側の壁が滑るように見えなくなり、2人は息を飲みながらその中へと誘われるように入った。