第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
ロックハートは絶望的な顔をしていた。
きっと口からのでまかせなのだろうけれど、よく大口を叩けたなと私は呆れながら話を聞く。
「よ、よろしい。へ、部屋に戻って、し、支度をします」
そう言うとロックハートは部屋を出ていった。
「さてと。これで厄介払いができました。寮監の先生方は寮に戻り、生徒に何が起こったかを知らせてください。明日1番のホグワーツ特急で生徒を帰宅させる、とおっしゃってください。ほかの先生方は、生徒が1人たりとも寮の外に残っていないように見廻ってください」
マクゴナガル先生の言葉に先生たちは立ち上がると、一人一人と消えていく。
職員室に人が居なくなると、私たちもすぐに職員室から出てから、急いでグリフィンドール塔へと向かった。
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フレッドとジョージとは、ジニーが連れ去られたことにより暗い表情を浮かべていた。
パーシーはというと、モリーおばさん達に報告する為にフクロウ便を飛ばしたあとは部屋に閉じこもっている。
(ジニー……1人にするべきじゃなかったのよ。あの子は何かあの時言おうとした。あの時引き止めるべきだったわ……)
後悔しても遅い。
そう思っていれば、フレッドとジョージたちは寝室へと行ってしまい、その場は私とハリーにロン、そして数人の生徒だけが残っていた。
「ジニーは何か知っていたんだよ、ハリー、アリアネ」
職員室を出てから初めて、ロンがそう言葉にする。
「だから連れていかれたんだ。パーシーのバカバカしい何かの話じゃなかったんだ。何か『秘密の部屋』に関する事を見つけたんだ。きっとそのせいでジニーは……」
じわりと彼の瞳から涙が浮かぶ。
それを乱暴に擦ったロンは言葉を続けた。
「だって、ジニーは純血だ。他に理由があるはずない」
「……ジニー」
私の目にも涙が浮かんだ。
ジニーのそばにもっといるべきだったと、後悔しながら涙をボロボロと溢れさせていればハリーが私の背中を撫でてくる。
「ハリー、アリアネ。ほんのわずかでも可能性があるだろうか。つまりジニーがまだ」
「ジニーはまだ、生きてるのかしら……」
「生きてるさ。生きてるよ。そうだ!ロックハートに会いに行くべきじゃないかな?」
ロンが突然、声を上げてから言った。
その言葉に私は目をぱちくりとさせて、彼を見上げる。
「ロックハートに?」