第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
「だけど、バジリスクはどうやって城の中を動き回っていたんだろう?とんでもない大蛇だし……誰かに見つかりそうな……」
「パイプだ。パイプだよ……ロン、やつは配管を使ってたんだ。僕とアリアネには壁の中からあの声が聞こえてた」
「パイプを使ってたから、壁から声が聞こえたように思ったのね……なるほどね」
ハーマイオニーはそれに気がついて、メモをこうして残したのだろう。
私はハーマイオニーの手を握り、賢く最後までメモを残そうとしてくれた彼女を凄いと思った。
その時だった。
ロンはハリーの腕を掴んで、少し大きな声で叫んだ。
「『秘密の部屋』への入口だ!もしトレイの中だったら?もしあの」
「『嘆きのマートル』のトイレだったら!……ということは、この学校で蛇語を話せるのは、僕とアリアネだけじゃないはずだ。『スリザリンの継承者』も話せる。そうやってバジリスクを操ってきたんだ」
「これからどうする?」
「マートルのところに行くの?」
「いや、すぐにマクゴナガルのところへ行こうか?」
私とロンはハリーの言葉をまった。
すると彼は弾かれるように立ち上がる。
「職員室に行こう。あと10分で、マクゴナガル先生が戻ってくるはずだ。まもはく休憩時間だ」
私たちは急いで階段を下りて行った。
すると職員室には誰もいなくて、私たちは広い壁を羽目板飾りにした部屋を行ったり来たりとする。
休憩の合図であるベルが鳴らないのだ。
どうしたのだろう、3人でソワソワとしていればマクゴナガル先生の声が魔法で拡大されたものが廊下に響き渡った。
「生徒は全員、それぞれの寮にすぐに戻りなさい。教師は全員、職員室に大至急お集まりください」
その声に私は唖然とした。
まさか、また誰かが襲われたのだろうかと驚いたのだ。
「襲われたの?誰かがまた……」
「どうしよう?寮に戻ろうか?」
「いや」
するとハリーはある物を見つめた。
左側に野暮ったい洋服掛けがあり、彼はそれに触れながら私とロンを見る。
「さあ、この中に。いったい何が起こったのか聞こう。それから僕たちの発見したことを話そう」
私たちはすぐにその中に隠れた。
やがて職員室には次々と先生たちが入ってきて、最後にマクゴナガル先生が入ってくる。
「とうとう起こりました」