第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
蜘蛛が逃げ出すのはバジリスクが来る前触れである。なぜならバジリスクは蜘蛛の天敵だからである。バジリスクにとって致命的なものは雄鶏が時を作る声で、唯一それからは逃げ出す。
それを読み終えた私は、本の紙の下にハーマイオニーの筆跡で『パイプ』と書かれていた。
ハリーもそれをみつけたようで、口に出して言う。
「パイプ」
その時、ハリーが私とロンの名前を声を潜めて呼んだ。
「ロン、アリアネ。これだ。これが答えだ。『秘密の部屋』の怪物はバジリスク。巨大な毒蛇だ!だから僕とアリアネはあちこちでその声を聞いたんだ。ほかの人には聞こえなかったのに。僕とアリアネが蛇語がわかるからなんだ……」
ハリーはベッドを見渡した。
「バジリスクは視線で人を殺す。でも誰も死んではいない。それは、誰も直接目を見ていないからなんだ。コリンはカメラを通して見た。バジリスクが中のフィルムを焼き切ったけど、コリンは石になったんだ。ジャスティン、ジャスティンは『ほとんど首無しニック』を通して見たに違いない!ニックはまともに光線を浴びたけど、2回は死ねない……。ハーマイオニーとレイブンクローの監督生が見つかった時、そばに鏡が落ちていた。ハーマイオニーは、怪物がバジリスクだってきっと気づいたんだ」
ハリーの言葉に私は目を見開かせた。
「絶対に間違いないと思うけど、最初に出会った女子学生に、どこか角を曲がる時には、まず最初に鏡を見るようにって、きっと忠告したんだ!そしてその学生が鏡を取り出して、そしたら……」
「バジリスクを鏡越しで見たのね」
「そういうことだよ!」
ロンはぽかんとしていた。
上手くまだ状況を理解出来ているのか、出来ていないのか分からない顔をしている。
「それじゃ、ミセス・ノリスは?」
「水だ……。『嘆きのマートル』のトイレから水が溢れてた。ミセス・ノリスは水に映った姿をみただけなんだ……」
ハリーは私が手に持っていた紙を取ると、もう一度食い入るように目を通した。
「ハグリッドの雄鶏が殺された!『秘密の部屋』が開かれたからには、『スリザリンの継承者』は城の周辺に、雄鶏がいてほしくない。『蜘蛛が逃げ出すのは……前触れ!』何もかもぴったりだ!」
私はハリーから紙を取ると、同じように食い入るように見てから唖然とした。
本当に何もかもぴったりだから。