第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
「Ms.グレンジャーのお見舞いを許可します。ビンズ先生には、私からあなた達の欠席のことをお知らせしておきましょう。マダム・ポンフリーには、私から許可が出たと言いなさい」
「あ、ありがとうございます!マクゴナガル先生!」
私は直ぐにお礼を言ってから、ハリーとロンの腕を掴んでその場を後にした。
後ろからはマクゴナガル先生が鼻をかむ音が聞こえてくる。
「ハリー、あなたよくあんな事思いついたわね」
「ああ。あれは、君の作り話の中でも最高傑作だったぜ」
そして私たちは医務室に訪れた。
マダム・ポンフリーに『マクゴナガル先生から許可はもらった』と伝えれば、しぶしぶと言いたげに彼女は私たちを医務室の中に招き入れてくれた。
「ハーマイオニー。明日には、石から元に戻るからね」
私は冷たくて石となった手を繋ぎながら、そうハーマイオニーに声をかけた。
もちろん返事をしてくれるわけがなく、私は少し泣きそうになってしまう。
「なあ、ハーマイオニーが自分の襲ったヤツを本当に見たと思うかい?」
「え?」
「だって、そいつがこっそり忍び寄って襲ったのだったら、誰も見ちゃいないだろう……」
「確かに、そうね……あら?」
私はふと、ある事に気がついた。
握っているハーマイオニーの手に、クシャクシャになった紙切れが握られていることに気がつく。
「ハリー……ハーマイオニーが何か、握っているわ」
「え?」
「ほら……」
彼女の手を見せれば、ハリーは数回瞬きをする。
するとハリーは辺りにマダム・ポンフリーが居ないのを確認してから声をかけてきた。
「取り出してみて、アリアネ」
「わかったわ」
私はハーマイオニーの手から、その紙が破れないようにと必死に引っ張ったり捻ったりしてから時間をかけてなんとかそれを取った。
「取れたわ……。何か古い本のページみたいだけど」
「読んでみよう」
我らが世界を徘徊する多くの怪獣、怪物の中でも、最も珍しく、最も破壊的であるという点で、バジリスクの右を出るものはない。『毒蛇王』とも呼ばれる。この蛇は巨大の成長することがあり、何百年も生き長らえることがある。鶏の卵から生まれ、ヒキガエルの腹の下で孵化させる。殺しの方法は非常に珍しく、毒牙による殺傷とは別に、バジリスクの人睨みは致命的である。その眼から光線に捕らた者は即死する。