第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
ダンブルドアの言葉に、ハリーと他の少人数が笑う。
だけど私は笑うことが出来ず、少しだけ眉間に皺を寄せていた。
そしてハリーは笑いながらパーシーに訊ねる。
「まじめに言ってるんじゃないよね?」
「いや、まじめだよ」
「本気で言ってるの·····?」
「ああ。へんだな、どこか立ち入り禁止の場所がある時は必ず理由を説明してくれるのに·····森には危険な動物がたくさんいるし、それは誰でも知っている。せめて僕たち監督生にはわけを言ってくれてもよかったのに」
パーシーは不思議そうにしながらも、少し不満げにもしていた。
そんな彼からダンブルドアへと視線を向けて、私は少しだけ首を傾げる。
何故、今年いっぱいは四階の右側の廊下に入っちゃいけないんだろう。
痛い死に方っていうのはなんだろうと疑問を抱きながらも、ダンブルドアの続けた言葉に耳を傾ける。
「では、寝る前に校歌を歌いましょう!」
校歌を歌うと言われた瞬間、先生方の笑顔が強ばったように見えた。
そしてダンブルドアが杖を振ると、金色のりぼんが長々と出てきてテーブルの上を高く昇る。
蛇のようにクネクネしながら曲がって文字を書いていく。
「みんな自分の好きなメロディーで。では、さん、し、はい!」
その瞬間、なんとも言えない唸りが響いた。
ホグワーツ ホグワーツ
ホグホグ ワツワツ ホグワーツ
教えて どうぞ 僕たちに
老いても ハゲても 青二才でも
頭にゃなんとか詰め込める
おもしろいものを詰め込める
いまはからっぽ 空気詰め
死んだハエやら がらくた詰め
教えて 価値のあるものを
教えて 忘れてしまったとのを
ベストを尽くせば あとはお任せ
学べよ脳みそ 腐るまで
なんとも言えない歌詞に、私は顔を引き攣らせながら苦笑を浮かべる。
そしてみんなバラバラに歌い終えて、ジョージとフレッドがとびきり遅い葬送行進曲で歌っていて最後まで残っていた。
「·····最後まで残ってる」
「いつもの事だ」
私の囁きに、パーシーが呆れたように囁いた。
ダンブルドアは双子に合わせて最後の何小節かを杖で指揮していた。
暫くして、双子が歌い終えるとダンブルドアは誰にも負けなぐらいに拍手をする。
「ああ、音楽とは何にもまさる魔法じゃ」
何故か、感激しながら涙を拭っている彼に私は唖然としてしまう。