第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
次の授業はスプラウト先生の薬草学。
スプラウト先生は皆に手作業で、アビシニア無花果の剪定をさせた。
「ハリー、フリート」
ふと、私とハリーが作業をしていれば声をかけられた。
私たちに声をかけてきたのは、ハッフルパフのあのアーニーであり、どうしたのだろうかと眉を寄せる。
「ハリー、フリート。僕は君たちを1度でも疑ったことを、申し訳なく思っています。君たちはハーマイオニー・グレンジャーをけっして襲ったりしない。僕が今まで言ったことをお詫びします。僕たちはいま、みんな同じ運命にあるんだ。だから……」
アーニーは私たちに手を差し出す。
その手を私とハリーは取り、握手を交わした。
するも、アーニーとその友人であるハンナが、私たちの所にやって来て無花果を一緒に剪定する。
「あのドラコ・マルフォイは、いったいどういう感覚をしてるんだろう」
アーニーは小枝を折りながら呟いた。
「こんな状況になってるのを大いに楽しんでるみたいじゃないか?ねえ、僕、あいつがスリザリンの継承者じゃないかと思うんだ」
「まったく、いい勘してるよ。君は」
ロンの言葉からして、どうやらロンはまだアーニーたちの件を許していないみたい。
私はそんなロンにクスクスと笑いながら剪定をしていく。
「ハリー、君は、マルフォイだと思うかい?」
「いや」
否定したハリーに、アーニーとハンナは目を見張っていた。
2人はマルフォイがスリザリンの継承者じゃないことを知らないのだから仕方ない。
なんて思っている時、横でロンが『アイタッ!』と悲鳴をあげた。
「どうしたのよ、ロン」
「ハリーが剪定ハサミでぶつけてきた」
「あら」
ハリーをチラッと見ると、1mぐらい先の地面を指さしていた。
そこには大きなクモが数匹ガサゴソと這っていて、私はその大きさに背筋をゾワッさせる。
「あのクモ、どこに行ってるのかしら……」
「どうやら『禁じられた森』のほうに向かってる……」
だけど今は追いかけることが出来ずに、私たちはそのクモを見送った。
そして次は『闇の魔術に対する防衛術』の為、スプラウト先生が教室まで引率してくれる。
その時に私たちは周りに聞こえないように話していた。
「もう1度『透明マント』を使わなくちゃ。ファングを連れていこう。いつもハグリッドと森に入っていたから、何か役にたつかもしれない」
「そうね」