第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
その時、ハグリッドが勢いよく立ち上がった。
すると彼のボサボサしている黒髪が天井についていて、彼が足を踏み出せば小屋がギシギシと音を立てる。
「そんで、いったい貴様は何人脅した?何人脅迫して賛成させた?えっ?マルフォイ」
「おう、おう。そういう君の気性がそのうち墓穴を掘るぞ、ハグリッド。アズカバンの看守にはそんなふうに怒鳴らないよう、ご忠告申し上げよう。あの連中の気に障るだろうからね」
「ダンブルドアを辞めさせれるものなら、やってみろ!」
ハグリッドの怒号に、思わず身体を跳ねさせた。
ファングも驚いたのか、小さく鳴きながら尻尾を丸めている。
「そんなことをしたら、マグル生まれの者はおしまいだ!この次は『殺し』になる!」
「落ち着くんじゃ。ハグリッド」
珍しくダンブルドアは厳しくそうハグリッドを窘めていた。
それからルシウス・マルフォイへと視線を投げかける。
「理事たちがわしの退陣を求めるなら、ルシウス、わしはもちろん退こう」
「しかし」
魔法大臣もダンブルドアが退くのを良しとはしていない。
だが怒っているハグリッドの言葉に、彼の言葉は遮られてしまう。
「だめだ!」
ルシウス・マルフォイを殴り飛ばしてやりたかったが、ハリーとロンが私を羽交い締めにして止めているため動けない
するとダンブルドアがゆっくりとした口調で伝えた。
「ただし、覚えておくがよい。わしが本当にこの学校を離れるのは、わしに忠実な者がここに1人もいなくなった時だけじゃ。覚えておくがよい。ホグワーツでは助けを求める者には、必ずそれが与えられる」
ダンブルドアの瞳が私たちの方を向いた。
もしかしたら、ダンブルドアは私たちがいることに気がついているのかもしれない。
「あっぱれなご心境で」
ルシウス・マルフォイが敬礼した。
「アルバス、我々は、あなたの、あー非常に個性的かやり方を懐かしく思うでしょうな。そして、後任者噛まその、えー『殺し』を未然に防ぐのを望むばかりだ」
ルシウス・マルフォイはそれだけを言うと、小屋から大股で出ていった。
そして魔法大臣はハグリッドが出るのを待っていたが、彼は出ようとはしない。
その代わりぽつりぽつりと呟いた。
「誰か何かを見っけたかったらクモの跡を追っかけていけばええ。そうすりゃちゃんも糸口が分かる。俺が言いてえのはそれだけだ」