第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
魔法大臣はどいう意味なのだろうかと思っていたようだが、ハグリッドの言葉は私たちに向けられたものだと直ぐに分かった。
「よし。いま行く」
ハグリッドはモールスキンのオーバーを着込む。
そして魔法大臣の後に出る時に、私たちに大声でこういった。
「それから、誰か、俺のいねえ間、ファングに餌をやってくれ」
扉がバタンと音を立てて閉まった。
そして私たちは透明マントを脱いでから、驚きと絶望に近い心境で閉まった扉を見つめる。
「大変だ」
ロンのかすれた声が聞こえた。
「ダンブルドアはいない。今夜にも学校を閉鎖したほうがいい。ダンブルドアがいなけりゃ、1日1人は襲われるぜ」
「そうよね、そうだけど……」
ファングはハグリッドが居なくなってから、寂しそうに悲しそうに鳴きながら戸をかきはじめた。
私はそんなファングの頭を撫でながら、閉まった扉を見つめる。
「ルシウス・マルフォイ……ダンブルドアを停職に追い込んで何を考えているのかしら」
自分の子供だって襲われる……いや、襲われないだろう。
だからといってホグワーツを守ってくれているダンブルドアがいなければ、何かしら自分の息子だって危険な目にあうかもしれないのに……。
「とにかく、1度城に戻りましょう。ハリー、ロン」
「そうだね。急いで戻らないと、また減点されるか酷い目にあうかも」
「ああ、どうしよう……ダンブルドアがいなきゃ、ホグワーツはおしまいだよ」
私たちはファングの頭を撫でてから、ハグリッドの小屋を後にした。