第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
「俺は、けっして」
ハグリッドはすがるようにダンブルドアを見ていた。
「ダンブルドア先生さま、知ってなさるでしょう。俺は、けっして……」
「コーネリウス、これだけはわかってほしい。わしはハグリッドに全幅の信頼を置いておる」
「しかし、アルバス。ハグリッドには不利な前科がある。魔法省としても、何かしなければならん。学校の理事たちがうるさい」
何か嫌な予感がまたした。
胸騒ぎが治まることがなくて、こめかみがどうしてか痛む気がする。
(なんで、こんなに胸騒ぎがするの……。ハーマイオニーの時と一緒だわ)
心臓が強く音を鳴らしていた。
その音がダンブルドアたちにバレないか不安になるぐらいには、心臓がうるさい。
「コーネリウス、もう1度言う。ハグリッドを連れていったところで、何の役にも立たんじゃろう」
ダンブルドアの目が今まで以上に鋭かった。
そんな彼に、魔法大臣はモジモジしながら言う。
「私の身にもなってくれ。プレッシャーをかけられておる。何か手を打ったという印象を与えないと。ハグリッドではないとわかれば、彼はここに戻り、何の咎めもない。ハグリッドを連行せねば、どうしても。私にも立場というものが」
「俺を連行?どこへ?」
「ほんの短い間だけだ」
魔法大臣の言葉に、薄らと嫌な考えが浮かんだ。
連行という言葉と、魔法大臣がハグリッドと目を合わさないあの態度に。
「まさか……」
小さく呟く声が、魔法大臣に聞こえないか以上に不安になっていた。
「罰ではない。ハグリッド。むしろ念のためだ。ほかの誰かが捕まれば、君は十分な謝罪の上、釈放される……」
「まさかアズカバンじゃ?」
「そんな……!」
「アリアネ……!」
ハリーが咄嗟に私の口を抑えた。
それと同時に激しく扉を叩く音が響き、ダンブルドアが扉を開ける。
そこにいたのは、ルシウス・マルフォイだった。
ルシウス・マルフォイは冷たく微笑みながら、ハグリッドの小屋に入ってくる。
まさかの人物に私とハリーは大きく息を飲んでしまい、ロンに脇を小突かれた。
「もう来ていたのか。ファッジ。よろしい、よろしい……」
「なんの用があふんだ?俺の家から出ていけ!」
ハグリッドはルシウス・マルフォイを見た瞬間、激しくそう怒鳴るように言った。
だがルシウス・マルフォイは相変わらずの鼻につく笑いを浮かべているだけ。