第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
「今日は学校中を巡回して、皆さんのバレンタイ・カードを配達します。そしてお楽しみはまだまだこれからですよ!先生方もこのお祝いムードにはまりたいと思っていらっしゃるはずです!さあ、スネイプ先生に『愛の妙薬』の作り方を見せてもらってはどうです!ついでに、フリットウィック先生ですが、『魅惑の呪文』について、私が知っているどの魔法使いよりもよくご存知です。素知らぬ顔して憎いですね!」
フリットウィック先生は両手で顔を覆い、セブは今にも人を殺しそうな顔をしていた。
恐らくだけれど、セブの所に『愛の妙薬』を作ってほしいとお願いする人はいないだろう。
だけどフリットウィック先生には教えてもらおうする人はいるかもしれない。
そして午後も遅くなった頃。
グリフィンドール生たちが『妖精の呪文』教室に向かっているときであった。
「オー、あなたにです!アリー・ポッター」
「アリー……?ハリーじゃなくて?」
とある小人がしかめっ面でハリーに近づいてきたのである。
「アリー・ポッターに、直々にお渡ししたい歌のメッセージがあります」
小人はそう言いながら竪琴を鳴らしている。
「歌のメッセージらしいわよ、ハリー」
「いやいや!ここじゃダメだよ!」
ハリーは逃げようとしたが、小人に『動くな!』とカバンをがっちりと捕まえられていた。
するとハリーの鞄さ真っ二つに引きさかれてしまい、本や杖に色んなものが床に散らばってしまう。
私とハリーは慌てたそれを拾い始めた。
「小人が歌う前に集めなきゃ……!」
廊下は物が散乱しているせいなのか渋滞が起きている。
すると、今は聞きたくもない声が聞こえてきた。
「何をしてるんだい?」
「この騒ぎはいったい何事だ?」
マルフォイとパーシーの声だ。
私はハリーの腕を掴んで逃げようとしたけれど、小人がハリーの膝を掴んでいて、彼はそのまま床にバッタリと倒れてしまった。
「ハリー!?」
「これでよし。貴方に、歌うバレンタイです」
あなたの目は緑色、青いカエルの新漬けのよう
あなたの髪は真っ黒、黒板のよう
あなたがわたしのものにならいいのに
あなたは素敵
闇の帝王を征服した、あなたは英雄
私はその場に立ち、片手で顔を覆った。
その場にいた全員は大笑いしていて、私は笑えずにハリーに同情する。