第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
チョコレート色をしたコスモスの花束。
匂いをかぐと、チョコレートのような匂いがして私は微笑んでしまう。
「ありがとう、セドリック」
「どういたしまして」
「あ、私……貴方に何かあげないと……」
何を渡そうとワタワタとしていれば、セドリックはクスッと笑いながら首を横に振る。
「僕が君にあげたかっただけなんだ。だからお返しはいらないよ」
「そう?じゃあ、来年は貴方に何か送るわね」
「楽しみに待っているよ。じゃあ、良いバレンタインデーを」
セドリックはウインクをすると歩いていってしまった。
小さな花束を抱えた私は、1度それをグリフィンドール塔へと持って帰る。
そして寝室に備え付けれている机に花瓶を置いてから、チョコレートコスモスを飾った。
それから私は急いで大広間へと向かう。
道中、クィディッチの練習で寝不足なハリーと会ってから2人で大広間へた向かった。
「寝不足そうね、ハリー。大丈夫?」
「ん、なんとかね……て、なんだい、これは……」
「これは……」
大広間に入ると私とハリーは目を見開かせた。
壁という壁にけばけばしい大きなピンクの花があり、淡いブルーの天井からはハート型の紙吹雪が舞っている。
「これ、何事?」
「凄く派手だけれど、何?」
私とハリーは直ぐにロンとハーマイオニーのところに向かった。
するとロンは馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに、先生たちがいるテーブルを指さす。
「……なるほど、原因が分かったわ」
視界には派手なピンクのローブを着たロックハートがいて、彼は手を挙げながら『静粛に』と言っている。
マクゴナガル先生は頬をピクピクと痙攣していて、セブはなんとも言えない表情を浮かべていた。
「バレンタイおめでとう!今までのところ46人の皆さんが私にカードをくださいました。ありがとう!そうです。皆さんをちょっと驚かせようと、私がこのようにさせていただきました。しかも、これが全てではありませんよ!」
ロックハートが手を叩けば、小人たちが12人入ってくる。
だけど全員が金色の翼をつけて、ハープまで持っていた。
「私の愛すべき配達キューピッドです!」
「可哀想な小人たち……」
私は小人たちを哀れに思った。
恐らくじゃない、絶対にロックハートがあんな格好をさせたんだとわかりる。
小人にキューピッドの格好だなんて……。