第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
ハーマイオニーの言葉にロンは答えた。
「そいつは素晴らしい論理だよ。ハーマイオニー。だけど、ほんのちょっと、ちっちゃな穴がある。日記にはなーんも書かれてなーい」
「あら、そうとは限らないわよ。ねえ、ハーマイオニー」
「ええ、そうよアリアネ」
ハーマイオニーは鞄の中から杖を取り出した。
「絶対に書かれてないとは言えないわ。魔法で隠されているかもしれないわ」
「それか透明インクかもしれないわ!」
ハーマイオニーは杖で日記を3回軽く叩いてから、『アパレシウム(現れよ)!』と唱える。
だけど日記には何も現れずに、相変わらずの真っ白のままだった。
透明インクでもなければ、魔法じゃないのか。
そう思っていればハーマイオニーは鞄の中から真っ赤な消しゴムのようなものを取り出した。
「現れゴムよ。ダイアゴン横丁で買ったの」
そう言いながら、1月1日のページを擦るけれどやっぱりなにも現れない。
「何も、現れないわね……」
「だから言ってるじゃないか。何も見つかるはずないよ。リドルはクリスマに日記帳をもらったけど、何も書く気がしなかったんだ」
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淡い陽光がホグワーツに差し込む日。
今日はバレンタインデーであり、女の子たちに男の子たいはそわそわとしている。
「なんでソワソワしているのかと思えば、今日はバレンタインデーなのね。忘れていたわ」
廊下を歩きながら私はポツリと呟いた。
バレンタインデー、毎年ウィーズリー家の皆やセブや名付け親にチョコレートを作っては送っていたけれど去年はそれどころじゃなかったから作っていない。
(それに今年も作ってなかったわね……)
チョコレートじゃなくても別にいい。
ミサンガでも送ろうかしらと思っていれば、声をかけられた。
「アリアネ」
「あら、セドリック。おはよう」
「おはよう。君に渡したいのがあって探していたんだ。会えて良かったよ」
「私を?どうしたの?」
セドリックは私がスリザリンの継承者だという噂が流れても、ずっと話しかけてくれている。
優しい人だと思いながら、彼の存在に少しだけ救われていた。
「今日はバレンタインデーだろう?だから、君に花を渡そうと思って」
そう言って彼は私に花束を渡してきた。
「チョコレートコスモスだよ。いい匂いだろう?」
「わあ……!」