第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
甘い物は本当に大好きで、見るだけでもテンションは上がってしまう。
それにケーキ屋のショーウィンドウに並ぶケーキを見るだけで、幸せな気持ちになってしまうぐらい私は甘い物がとにかく好きだ。
「ホグワーツの糖蜜パイ、凄く美味しいわ。レシピが知りたいぐらい」
「あら、本当に美味しいわ」
ハーマイオニーと話したり、時折ハリーやロンと会話をしながらと糖蜜パイや他のデザートを楽しむ。
するといつの間にか、家族の話題が繰り広げられていた。
「僕はハーフなんだ。僕のパパはマグルで、ママは結婚するまで魔女だといわなかったんだ。パパはずいぶんドッキリしたみたいだよ」
シェーマスという子の話に、皆が笑っていた。
するとロンがネビルへと話題を投げる。
「ネビルはどうだい」
「僕、ばあちゃんに育てられたんだけど、ばあちゃんが魔女なんだ」
私は彼の会話を聞きながらも、家族の話題というのに少しだけ眉間に皺を寄せる。
少しだけ私は育ちが複雑であり、周りの人間は私の両親の話を少しだけ避けたりしていた。
可哀想だから、怖い話だから。
そんな感じで避けていたりするから、両親の話を聞くのは私自身も避けていた時があった。
(だけど、名付け親とあの人だけはちゃんと両親の話を聞かせてくれた)
知ったら可哀想だから、じゃなくて知らない方が可哀想だからと教えてくれた。
そしてネビルの話へと耳を傾ける。
「でも僕の家族はずーっと僕が純粋なマグルだと思ってたみたい。アルジー大おじさんときたら、僕に不意打ち食らわせてなんとか僕から魔法の力を引き出そうとしたの。僕をブラックプールの桟橋の端から突き落としたりして、もう少しで溺れるところだった」
ネビルの言葉に、私たちは少しだけ顔を顰める。
なんとも強引で危険な方法で、魔法の力を引き出そうとしたなと。
「でも八歳になるまでなんにも起こらなかった。八歳の時、アルジー大おじさんがうちにお茶にきた時、ぼくの足首つかんで二階の窓からぶら下げたんだ。ちょうどその時エニド大おばさんがメレンゲ菓子持ってきて、大おじさんたらうっかり手を離してしまったんだ」
それは虐待と言わないのだろうか。
私以外にもそう思った子達はいたようで、かなり顔を顰めながらネビルの話を聞いている。
中には楽しそうに笑っている子もいるけれど、私はちょっと笑えなかった。