第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
「さて、グリフィンドール新入生諸君。今度こそ寮対抗優勝カップを獲得できるよう頑張ってくださるでしょうな?グリフィンドールがこんな長い間負け続けたことはない。スリザリンが六年連続で寮杯を取っているのですぞ!『血みどろ男爵』はもう鼻持ちならない状態です……スリザリンのゴーストですがね」
スリザリンのゴーストの名前は、なんとも怖い。
そう思いながらスリザリンの方へと視線を向けて、私は素早く視線を逸らした。
虚ろな目にげっそりした顔、衣服は銀色になった血でべっとり汚れている。
あれは確かに血みどろ男爵という名前に相応しい。
「見るんじゃなかったわ」
「僕もだよ。でもほら、マルフォイがあのゴーストの隣の席なんだよ。いい気分だ」
「あら、それはいい気分だわ」
あのコンパートメントでの事で、私とハリーはマルフォイが嫌いになっている。
そのため、あの恐ろしいゴーストが彼の横にいると聞いて気分が良くなった。
「お腹いっぱいだわ。ホグワーツの料理はとても美味しいのね」
「確かにそうね。レストランの食事みたいだわ」
隣に座っていたハーマイオニーは満足そうにしていて、私もだいぶ満足していた。
そして、全員がお腹いっぱいになったと言っていれば食べ物が消え去る。
しかもお皿はぴかぴかに洗ったように綺麗になっていた。
「お皿が綺麗になってるわ……」
そう呟いた瞬間、目の前に新たな食事が現れた。
次はデザートであり、あらゆるの味のアイスクリームにアップルパイ、糖蜜パイ、エクレア、ジャムドーナツ、トライフル、いちご、ゼリー、ライスプディング等のデザートに目が輝く。
「アリアネ、貴方、凄く目が輝いてるわ」
「それもそうさ。アリアネは大の甘党なんだ。しかも好物の糖蜜パイがあるからな」
「甘党なアリアネは、デザートに目がない。ほら、直ぐに糖蜜パイを手にしてる」
ハーマイオニーの言葉に答えたジョージとフレッドを横目に見ながらも、私は好物である糖蜜パイを手にしてから頬張った。
まさかホグワーツで好物が食べれるなんてと、ついつい頬が緩んでしまう。
「本当に好きなのね。凄い笑顔だわ」
「ハーマイオニーは甘いの好き?」
「ええ、好きよ。その糖蜜パイは美味しいかしら?」
「凄く美味しいわ。ハーマイオニーも食べてみて!」
「アリアネ、貴方、凄くテンションが上がってるわね」