第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
「髭が生えてきたりしたら、僕なら勉強は休むけどなあ」
とある夜のこと。
ハーマイオニーの脇机に本を抱えてきたロンは、それをドサドサと音を鳴らして落としてから言った。
「バカなこと言わないでよ、ロン。遅れないようにしなくちゃ」
ハーマイオニーの顔の毛はなくなり、目もいつもの色に戻ってきている。
さすがマダム・ポンフリーだなあと関心しながら、ハーマイオニーに今日習った場所を教えたりした。
「何か新しい手がかかりはないの?」
「何にも」
「絶対マルフォイだと思ったのになぁ」
ハリーとロンはスリザリン寮に侵入したが、マルフォイがスリザリンの継承者ではないことがわかった。
絶対にスリザリンの継承者だと思っていたのにと、ハリーとロンは少し肩をおとしていたのを覚えている。
「それ、なあに?」
ハーマイオニーの枕の下から何か出ているのをハリーが見つけた。
「カード?」
「ただのお見舞いカードよ」
慌てたハーマイオニーがカードを押し込もうとしたが、ロンが素早くそれを奪って声を出した読む。
『Ms.グレンジャーへ
早く良くなるようお祈りしています
あなたの事を心配しているギルデロイ・ロックハート教授より
勲3等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、『週間魔女』5回連続チャーミング・スマイル賞受賞』
私とロンは呆れ返っていた。
最初の文は良しとして、最後の勲章まで書く必要はあるのだろうかと。
「君、こんなもの、枕の下に入れて寝ているのか?」
その時、マダム・ポンフリーが入ってきたのでハーマイオニーの言い分が聞けなかった。
私たちはマダム・ポンフリーに医務室から追い出されてしまい、仕方なくグリフィンドールの寮へと戻る。
「ロックハートって、おべんちゃらの最低なやつ!だよな?」
ロンはそう言いながら歩いていた。
私も頷きながら、ハーマイオニーはあのロックハートの何処が良いと思っているんだろうと首を傾げる。
ナルシスト系な男性が好みなのだろうかと思っている時だった。
上の階から誰かが怒りを爆発させている声が聞こえてきた。
誰なのだろうかと思えば、その声はフィルチのものであり私たちは顔を見合わせる。
「あれはフィルチだ」
「なんであんなに怒っているのかしら……」
「誰かまた、襲われたんじゃないよな?」