第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
何か問題が起きたのだろうか。
私はハーマイオニーが入っている小部屋を叩く。
「ハーマイオニー、どうしたの?」
「ちょっと、無理なのよ。出れないの。ハリー、ロン、急いで」
私たちは困惑しながらも、ハーマイオニーの言葉に『わかった』と返事をした。
そしてハリーとロンはクラッブとゴイルの姿のまま、トイレを出ていく。
「気をつけてね」
そんな2人を見送ってから、私はまたハーマイオニーの扉を叩いた。
「ハーマイオニー、本当に大丈夫なの?何かあったの?」
「アリアネ。あれね、あれ·····猫の毛だったのよ」
「·····猫の毛?」
ハーマイオニーはゆっくりと扉を開けて出てきた。
そこに居たのは顔を黒い毛で覆われ、目は金色に変わり、長い3角耳をしているハーマイオニー。
完全に猫となっていて私は目を見開かせていれば、嘆きのマートルがトイレから出てくる。
「あらあら、面白い姿をしているじゃない!」
「面白くなんていわ!ミリセント・ブルストロードは猫を飼っていたのよ!最悪だわ·····!」
ハーマイオニーはそう叫ぶと泣き出してしまった。
私はおろおろとしながら、なんと彼女に声をかけるべきなのだろうかと悩む。
嘆きのマートルはずっと笑っていて、そのたびにハーマイオニーの泣き声が大きくなった。
別に酷い姿じゃないと思う。
世の中には狼男とか、狼人間なんているのだからと訳分からない事が頭の中に浮かぶ。
「だ、大丈夫よ、ハーマイオニー!あと1時間もすれば猫の姿じゃなくなるのだから!」
「でも、でも、その間はこんな酷い姿なのよ·····!」
「ハーマイオニー·····」
私はなんて声をかけるべきか分からずに、ただオロオロしていて、嘆きのマートルは可笑しそうに笑っていた。
それから時間が経過した頃。
こちらにやって来る足音が聞こえて、ハーマイオニーは小部屋に篭ってしまった。
そしてトイレに戻ってきたのはハリーとロン。
「アリアネ」
「おかえりなさい、ハリー。どうだった?」
「まあ、まったくの時間のムダではなかったよな」
「そうなの?」
「それよりハーマイオニーは?まだ、小部屋にいるのかい?」
「え、ええ·····そうなの」
するとロンはハーマイオニーが立ち籠っているの小部屋の扉を叩いた。