第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
フレッドは『いててッ』と言いながらも、グリフィンドール寮の方へと歩いて行ってしまった。
そんな彼を見送っていれば、ジョージが私の肩を叩く。
「アリアネ、1つ聞きたいことがあるんだけど……いいか?」
「なに?」
「アリアネは、フレッドから好意を寄せられっているのは知ってるよな?」
その言葉に私は目を見開かせた。
「知ってるよな?あれだけアピールされてんだ、知ってるだろう?」
ジョージの言葉に私はなんて答えようかと悩む。
確かにフレッドは私に好意を抱いているかのような態度は取っている。
好意を抱かれているのかもしれない、それは私だって気づいていた。
だけど確信出来ないのだ。
だって彼はすごく分かりづらいから……。
「彼、分かりづらいじゃない。好意を抱いているかと思っても『冗談』って言うのよ。本当に彼は私に好意を抱いているの……?」
「それは……。もし、そうだと言われたらどうするんだい?」
「もし……」
「もしフレッドが『アリアネが好きだ』と言ったら、君はどうするんだい?」
どうするかと聞かれたのは何度目だろう。
ジニーにも聞かれたことがあるけれど、私はフレッドを兄のように思っている。
「私、フレッドのこと兄のように思っているの。だから多分……私は、フレッドをそんな目では見れないわ」
「なるほど。でももし、兄のように見えなくなったら?」
「それは………困るわ。どうすればいいのか分からないもの」
もし兄のように見えなくなったら、私は困ってしまう。
どうすればいいのか分からないから。
「何を話してるんだ?」
すると、フレッドが戻ってきて私は肩を跳ねさせた。
「な、なんでもないわ」
「ふぅん。ほらアリアネ」
フレッドは私の手のひらに3個の糖蜜飴を零した。
コロンと転がる飴に私が微笑んでいれば、フレッドも嬉しそうに笑っている。
「やっぱりうちのお姫様の笑顔が1番だ。なあ?ジョージ」
「そうだな、フレッド。アリアネ、笑顔でいろよ。周りのことなんて気にするな」
「うん……ありがとう」
お礼を言うと2人は肩を組み合う。
「さて、俺らはそろそろ行くぜ」
「寒いから談話室に戻ってろよ」
するとジョージは私の元に来ると耳元で囁いた。
「フレッドは本気だ」
それだけを呟くとウインクをしていた。