第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
杖はあんな風に構えるのかと、私は暗記するように覚えていく。
もしの為なのだから覚えている必要はありそう。
「3つ数えて、最初の術をかけます。もちろん、どちらも相手を殺すつもりはありません」
「僕にはそう思えないけど」
ハリーの呟きを聞いてからセブを見る。
今にもロックハートを殺しそうなぐらいに、彼はすごく不機嫌そうだった。
「1、2、3」
セブがロックハートより先に叫んだ。
「エクスペリアームス(武器よ去れ)!」
紅の閃光が走ると、ロックハートが舞台から消えた。
宙を舞ってから壁に激突して、なんとも言えない痛い音が響く。
するとスリザリン寮生たちは歓声をあげていて、私も思わず歓声を上げてしまった。
「流石セブ……!」
「君って相変わらずスネイプが好きだよね」
「悪い?」
「悪くないけどさあ、いや、悪いよ。うん」
ロンはウゲェという顔をしながら言うので、私は睨みながらもセブの活躍に顔がニヤけてしまう。
ハーマイオニーはというと、顔を手で覆いながらロックハートを心配していた。
「先生、大丈夫かしら?」
「「知るもんか!」」
ハリーとロンの声が揃う。
そして吹っ飛ばされたロックハートはよろめきながらも、壇上へと上がっていた。
「さあ、みなさんわかったでしょうね!あれが『武器解除の術』です。ご覧のとおり、私は杖を失ったわけです。あぁ、Ms.ブラウン、ありがとう。スネイプ先生、たしかに、生徒にあの術を見せようとしたのは、すばらしいお考えです。しかし、遠慮なく一言申し上げれば、先生が何をなさろうとしたかが、あまりにも見え透いていましたね」
「嘘だわ。見え透いていないから、飛ばされたでしょうに……」
私の呟きはロックハートには聞こえておらず、ロックハートは言葉を続ける。
「それを止めようと思えば、いとも簡単だったでしょう。しかし、生徒に見せた方が、教育的によいと思いましてね……」
セブの雰囲気が重いものになっていた。
殺気立っているのが見てもわかるぐらいであり、ロックハートがそれに気づいたのか慌てている。
「模範演技はこれで十分!これからみなさんのところへ下りていって、2人ずつ組にします。スネイプ先生、お手伝い願いますか……」
2人は生徒の群れに入ると、2人ずつ組ませていく。
するとセブがこちらへとやってきた。