第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
セブが居ることに驚いていれば、ロックハートは観衆である私たちに手を振りながら『静粛に』と呼びかけた。
「みなさん、集まって。さあ、集まって。みなさん、私がよく見えますか?私の声が聞こえますか?結構、結構」
相変わらずのロックハートに私はげんなりとしながらも、セブの方を見ていた。
決闘クラブに来ているということは、セブが教えてくれるのだろうかと思っていれば、邪魔というか耳障りというかそんな声のロックハートの言葉が耳に入ってくる。
「ダンブルドア校長から、私がこの小さな『決闘クラブ』を始めるお許しをいただきました。私自身が、数え切れないほど経験してきたように、自ら護る必要が生じた万一の場合に備えて、みなさんをしっかり鍛え上げるためにです。詳しくは、私の著書を読んでください」
またもや、自分の著書の話をするロックハートに本当に心の底からげんなりとしてしまう。
「では、助手のスネイプ先生をご紹介しましょう」
ロックハートは満面の笑みだけど、セブはどこかブスッとしている。
相変わらずの無愛想な表情な彼に私は苦笑を浮かべてしまう。
「スネイプ先生がおっしゃるには、決闘についてごくわずか、ご存知らしい。訓練を始めるあたり、短い模範演技をするのに、勇敢にも、手伝ってくださるというご了承をいただきました。さてさて、お若いみなさんにご心配をおかけしたくはありません。私が彼と手合わせしたあとでも、みなさんの『魔法薬』の先生は、ちゃんと存在します。ご心配めさるな!」
その言葉にムッとする。
まるで自分の方がセブより強いと言わんばかりのセリフに腹を立ててしまう。
きっとセブの方が強いに決まっているし、ロックハートはこれまで呪文を失敗しているから負けるに決まっている。
「セブの方が強いに決まってるわ」
「そうかもしれないわね」
「相討ちで、両方ともやられっちまえばいいと思わいないか?」
ロンの囁きに私は彼の頭を殴った。
ボコッという音が響くけれど、周りはその音より決闘についての方が興味があるらしい。
殴られた音になんか興味はなく、ハーマイオニーが痛そうに顔を歪ませているだけだった。
セブとロックハートは向き合って一礼する。
そして2人は杖をまるで剣のように前に突き出した。
「ご覧のように、私たちは作法に従って杖を構えています」