第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
セブの個人用の棚には沢山の材料が並んでいた。
「ごめんね、セブ。必要だから頂いていくわ」
「謝らなくていいのよ、アリアネ」
私とハーマイオニーは急いで必要なものを手に取り、それぞれをローブの中に隠した。
そして未だに騒ぎが起きている教室へと戻り、私は危うく吹き出したそうになる。
マルフォイはあの騒ぎで薬を被ったみたい。
鼻が小さなメロンぐらいに膨れていて、重たさで顔が垂れているのだから。
「ん、ふふふ……ふはっ」
「アリアネ、笑わないでちゃうだい。私まで笑いそうだからっ……!」
私たちは急いで席に着く。
しばらくして、膨れ薬を浴びた皆は解毒剤を飲んで膨れが収まり出していた。
セブはゴイルの大鍋の底を見て顔を歪めた。
黒焦げの縮れた花火の燃えカスが、セブの手にあり私はわざと驚いた顔を浮かべる。
「これを投げ入れた者が誰かわかった暁には。吾輩が、間違いなくそやつを退学にさせてやる」
私たちはわざとらしく『誰がしたんだろう』という表情を浮かべていた。
そして10分後に終業のベルが鳴り響き、私たちは直ぐに地下牢を出ようとしたが……。
「Ms.フリート」
まさかの、私はセブに呼び止められたのである。
「なんでしょう……スネイプ先生……」
顔を引き攣らせながら振り返ると、セブは『こちらに来い』とだけ。
「……先に行ってて」
「いや、待ってるよ」
「行ってた方がいいわ」
ハリー達を見送り、私はセブの方に向かう。
何人かは地下牢に残っていて、私へと視線を向けてきていた。
あの騒ぎの中で私が呼ばれたから、私がしたのではないかという疑いの目を向けられている。
「あの、スネイプ先生。何か……?」
「君は風邪で、前の授業を受けていないからな。簡単にだが羊皮紙に授業の内容を纏めている。これを見て復習をするように」
「……あ、ありがとうございます」
ちょっと驚きながらも、セブから羊皮紙を受け取った。
なんだかんだやっぱり優しいなあと思いながら、私はニヤけてしまう。
「何をニヤけている」
「いいえ。スネイプ先生は優しい人ですね」
「何を言ってるのやら……。受け取ったのならさっさと行け。チラチラとポッター達が階段の所で見ている」
「はぁい」
ハリー達はセブの言う通り、チラチラと階段の方から私を見ている。
するとセブは訝しそうにハリーを見ていた。