第8章 重大で秘密な日記【秘密の部屋】
だがこれはチャンスだった。
ポリジュース薬を使って、マルフォイをうまく白状させるこもができるチャンスだ。
「あとは薬が出来ればの話なのよね。あと必要なのは二角獣の角と毒ツルヘビの皮だけ」
「生徒用の棚には無いものよね……。セブの個人の薬棚から拝借しないと」
ハリーはそんな私たちに言った。
『スネイプの研究室に盗みに入るなら、スリザリンの伝説の怪物と対決した方がマシ』と。
確かにそうかもしれないと、私たちも頷いた。
そして木曜日の午後。
スリザリンとの合同の『魔法薬』の授業が近づいてくる時にハーマイオニーが言った。
「気を逸らすことよ。そして、私たちのうち誰か1人がスネイプの研究室に忍び込み、必要なものをいただくの」
「その1人は、誰にするの?」
「私よ。私が実行犯になるのがいいと思うの」
私はギョッとした。
するとハーマイオニーは理由を説明してくれる。
「ハリーとロンは、今度事を起こしたら退校処分でしょ。私なら前科がないし。だから、あなた達はひと騒ぎ起こして、ほんの5分ぐらいスネイプを足止めしておいてくれればそれでいいの」
「じゃあ、私もハーマイオニーと一緒に行くわ。今回は私は問題を起こしてないもの」
「じゃあ、私とアリアネが必要なものを取りに行くわ」
ハーマイオニーと私の言葉に、ハリーは力無く笑っていた。
いよいよ魔法薬の授業当日。
いつもと変わらず、魔法薬の授業は地下牢で行われる。
授業中、ハーマイオニーが合図すればハリーとロンがひと騒ぎを起こすことになっていた。
「セブの視線が私たちに逸れた時、ハリーに合図してちょうだい。ハーマイオニー」
「分かったわ」
セブは相変わらずハリーをいびっていた。
そして次はネビルをいびるために、ハリーに背を向けた時にハーマイオニーが頷いた。
ハリーは素早く大鍋に身を隠してから、ポケットから前日にフレッドから拝借していた『フィリバスターの長々花火』を取り出して杖で突く。
そして音を立て始めた花火を、ハリーはゴイルへと投げつけ、花火はゴイルの大鍋に落ちた。
「もう少し待って……。花火が爆発して大騒ぎになったらよ」
「ええ、分かってるわ」
その瞬間だった。
花火が爆発して、大鍋も爆発して、『膨れ薬』が雨のように降り注ぎ始めた。
大騒ぎとなったクラスを見て、私とハーマイオニーはこっそりと教室を抜け出す。