第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
「ドビーめはご主人様が衣服を下さった時、初めて自由の身になるのでございます。家族全員がドビーにはソックスの片方さえ渡さないように気をつけているのでございます。もし渡せば、ドビーは自由になり、その屋敷から永久にいなくなってもよいのです」
その事を私は初めて知った。
ドビーは衣服を渡されないかぎり、ずっと奴隷のような扱いを受けなければいけないなんて……。
なんて酷い扱いなんだと憤を感じてしまう。
「ハリー・ポッターとアリアネ・イリアス・フリートはどうしても家に帰らなければならない。ドビーめは考えました。薬の効果を無くして悪化させ、ドビーのブラッジャーでそうせることができると」
「まって、薬の効果を無くして……!?」
「君のブラッジャー?いったいどういう意味?薬の効果を無くすって、君のブラッジャーって?君がブラッジャーで僕を殺そうとしたの?アリアネの風邪を悪化させて殺そうとしたの?」
私とハリーは流石に怒りを感じていた。
「殺すのではありません。めっそうもない!ドビーては、ハリー・ポッターとアリアネ・イリアス・フリートの命をお助けしたいのです!ここに留まるより、大怪我や高熱を出して家に送り返される方がよいのでございます!ドビーめは、ハリー・ポッターとアリアネ・イリアス・フリートが家に送り返される程度に怪我と悪化をするようにしたかったのです!」
全く気づけなかった。
薬の効果を無くさせていて、まさか悪化させられそうになっていたなんて。
ハリーはハリーで怒っていて、私もかなり怒っていた。
自分の身を危険に晒されていたのだ。
誰だって怒るし、ドビーは行き過ぎたことをしているのだから。
「その程度の怪我って言いたいわけ?僕がバラバラになって家に送り返されるようにしたかったのは、アリアネの熱を悪化させたかったのは、いったいなぜなのか、話せないの?」
「どうしてそんなことをしたの、ドビー……!」
「嗚呼、ハリー・ポッターとアリアネ・イリアス・フリートが、おわかりくださればよいのに!あなた様たちが、わたしくしどものように、卑しい奴隷の魔法界のクズのような者にとって、どんなに大切なお方たちなのか、おわかりくださっていれば!」
ドビーは泣きながら喚いていた。
大きな声を出しながら、私たちを見ながらボロボロとその涙を溢れさせている。