第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
「なぜ、ここに来たんだい?それに、どうして僕が汽車に乗り遅れたことを、知ってるの?」
「……まさか、ドビー、貴方!」
「あれは君だったのか!僕たちがあの柵を通れないようにしたのは君だったんだ」
ハリーと私はすぐに気がついた。
ドビーが、壁を通り抜けなくしてからハリーを汽車に遅らせるようにしたのだ。
でも私は魔法を避けるネックレスを付けていたから、通り抜けることが出来た。
「その通りでございます。ドビーめは隠れてハリー・ポッターとアリアネ・イリアス・フリートを待ち構えておりました。そして入口を塞ぎました。でもアリアネ・イリアス・フリートは通り抜けてしまった。ですから、ドビーはあとで、自分の手にアイロンをかけなければなりませんでした……」
ドビーの手には痛々しい包帯が巻かれていた。
きっとその手を自分でアイロンで焼いたのだろうと、私は眉間に皺を寄せる。
「でも、ドビーはそんなこと気にしませんでした。これでハリー・ポッターは安全だと思ったからです。アリアネ・イリアス・フリートには別の方法で学校から出てもらうつもりでした。ですが、まさか、ハリー・ポッターが別の方法で学校に行くなんて、ドビーめは夢にも思いませんでした!」
私は驚いてしまった。
そこまでして、私とハリーをホグワーツに行かせたくないとは思っていなかったから。
だけどハリーは怒っていた、何せそのせいでハリーは退学になる所だったのだ。
「君のせいでロンも僕も退校処分になるところだったんだ。ドビー、僕の骨が生えてこないうちに、とっとと出ていった方がいい。じゃないと、君を絞め殺してしまうかもしれない」
「ドビーめは殺すという脅しには慣れっこでございます。お屋敷では、1日5回も脅されます」
「そんなの慣れてはいけないわ!殺すなんて言葉は普通、使ってはいけないのだから!」
私が思わず怒鳴ると、ドビーは驚いた顔を浮かべていた。
だけどすぐに嬉しそうにしながらも、泣き出してしまい着ていた汚くなっている服で鼻をかんでしまう。
「ドビー、どうしてそんな物を着ているの?」
「綺麗な服はないの?」
「これは、屋敷しもべ妖精が、奴隷だということを示しているのでございます」
「奴隷……」
目を見開かせてしまう。
確かに、屋敷しもべ妖精を奴隷のように扱う人は多いと聞くけれど本当だとは……。