第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
マダム・ポンフリーは、今夜はハリーにここに泊まるようにとパジャマをよこした。
ロンはハリーの着替えを手伝うが、彼の骨が無くなった腕はぶらんぶらんとゴムのようで着替えさせるのに時間がかかったものだ。
「ハーマイオニー、これでもロックハートの肩を持つっていうの?えっ?」
カーテン越しでロンはハーマイオニーに声をかけた。
「頼みもしないのに骨抜きにしてくれるなんて」
「頼んでもいないのに、骨を治そうとして骨抜きにしたの!?」
「アリアネ、落ち着いて。誰にだって、間違いはあるわ。それに、もう痛みはないんでしょう?ハリー?」
「ああ。痛みはないけど、おまけに何も感じないよ」
ハリーが着替え終わると、カーテンが開く。
そしてマダム・ポンフリーは『骨生え薬のスケレ・グロ』というラベルの貼ってある薬を手に持ってハリーの目の前に立った。
「今夜は辛いですよ。骨を再生するのは荒療治です」
ハリーは薬を飲んで最悪な気分となっていた。
1口飲むと、口の中も喉も焼け付くようなものだったから。
マダム・ポンフリーはクィディッチとロックハートについて文句を言いながら医務室を出ていった。
「それで、何があったのかもう一度説明してちょうだい」
「頼むから怒って興奮して熱を上げないでくれよ、説明するけれど。ブラッジャーが狂ったように動いて、ハリーを狙い続けて追いかけたんだ。それでブラッジャーはハリーの腕に当たって」
「骨折したのね。それで、骨抜きになったのは?」
「ロックハートがそれを治そうとして、ハリーの腕の骨を抜いたんだ」
アリアネは怒り叫びそうになるのをぐっと我慢した。
そうしなければマダム・ポンフリーが駆けつけるか、自分の熱が上がるからである。
「でも、クィディッチは勝った。僕たちは勝った」
「勝ったのは勝ったのね」
「ああ。ものすごいキャッチだったなあ。マルフォイのあの顔……殺してやる!って顔だったな」
「あのブラッジャーに、マルフォイがどうやって仕掛けをしたのか知りたいわ」
ハーマイオニーは恨みがましい顔をしていて、アリアネは今にもマルフォイを殺しそうな顔をしていた。
「質問リストに加えておけばいいよ。ポリジュース薬を飲んでからあいつに聞く質問にね」
「さっきの薬よりましな味だといいんだけど……」