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シリウスに導かれ【ハリーポッター❈救済】

第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】


アリアネは誤魔化しながらも、スネイプの冷えて少しカサついている手に頬を擦り寄せる。
まるで猫が懐いているかのようなその仕草に、スネイプは眉を寄せた。

「ねえ、セブ。嘆きのマートルが言っていたのよ。母さんを『変人ヘレン』って」
「ああ、ヘレンは変人だった」

否定しない言葉に彼女は顔をムッとさせる。

「ヘレンは、マグル生まれで純血たちに虐められていても平然としていた。逆に仲良くしようと話しかけたりとして、ゴーストとも仲良くしようとして『変人』と呼ばれていた。彼女が纏う雰囲気も不思議なものだったからな」
「……そう」
「嘆きのマートルにも、仲良くなろうと攻めていき嫌われていた」
「だから、私は水をかけられたのね……」

納得したアリアネは自分の母の事を聞けて、少しだけ機嫌を良くさせる。
だがその瞳は僅かに潤んでいて、カージナルレッドの瞳が涙に濡れ始めた。

スネイプは僅かにたじろぐ。
彼女が泣き出しそうな事に驚いたのと、何か自分がしでかしたのだろうかと。

「嫌ね、風邪のせいで涙腺が弱くなってる……」
「泣きたいことでもあったのか」
「……夢を見たの、夢を。母さんが私を抱っこしてくれている夢を」

先程見た夢をアリアネは思い出していた。
死んだ母が自分を抱き、そして柔らかい笑みを浮かべていたのを思い出す。

「……泣きたくなったの。私には、なんで両親がいないのかしらって。こんなこと言っても、仕方ないのはわかってるのに」

ポロッと彼女の瞳から涙が1粒零れる。
その涙は頬を濡らしていき、枕を少しだけ濡らした。

「……泣きたいのなら泣け」

スネイプは慰めの言葉はかけず、彼女の瞳を手で覆う。
大きくてカサついていて冷たい手だが、アリアネにとっては暖かい手。
彼女はその手を少しだけ握りながら、涙を流し続けた。

風邪をひいたせいなのだろう。
涙腺も弱くなり、こんなことを言ってしまうのは風邪のせいだとアリアネは自分に自分で言い訳をした。

「お前が泣きやみ、再び眠りにつくまで傍にいてやる」
「ほんとうに……?」
「本当だ。傍にいてやるから、今は眠れ」

僅かにアリアネは微笑んだ。
1人で眠らなくてもいい事に安堵したのと、スネイプが傍に居てくれる嬉しさに。

「……居てね、ずっと」
「ああ……」
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