第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
「熱が高いですね。今日と明日、ゆっくり様子を見ながら医務室で休みましょう」
マダム・ポンフリーはそう言うと、アリアネに苦い特性の風邪薬を出す。
彼女は苦いのが嫌いであり、嫌々飲んでから吐き出しそうになった。
ハーマイオニーは風邪が移ってはいけないと、すぐに医務室から追い出されてしまいアリアネは医務室に1人となってしまった。
人がいない医務室はガランとしていて寂しくなってしまう。
「……暇だなあ」
いつもなら、ハリーとロンにハーマイオニーと賑やかにしている。
なのにその3人と会えることができない事に、アリアネは暇を感じていた。
だが、薬のおかげなのだろう。
彼女は目をトロンとしてから、睡魔と格闘したが直ぐにその睡魔に身を委ねた。
『おや……熱が出ているね』
『そうなのよ。ちょっと前から熱が出ていて、ウィリアスなんて大変よ。薬を取りに行くって騒いでいたの』
『それは大変だ。アイツはアリアネとヘレンの事になると、オツムが弱くなるからな』
『シリウス、アリアネをちょっと抱っこしていてちょうだい。私、お医者様を呼ぶから。シリウスかリーマスなら、この子も抱っこされても泣かないから』
『俺に懐いてくれているのか?アリアネは可愛いなあ』
懐かしいような優しい夢を見た。
アリアネはふわふわした気持ちでその夢を見たいたが、ふと額になにか冷たいものが触れて意識が浮上していくのがわかった。
重たい瞼を開ける。
ズキズキと頭痛と寒気がする中で焦点を合わせていれば、目の前には見慣れた『黒』がいた。
「せ、ぶ……?」
何日も水を飲んでいないような、喉の乾きをアリアネは感じながら目の前にいるスネイプの名を呼んだ。
「ミネルバから聞いた。嘆きのマートルに水をかけられ、髪を乾かさずにいたと。それで熱を出すなど、哀れでありますな」
「……嫌味、言いに来たの……?」
「さあ?どうだろうな」
スネイプは自身の冷えた手で、彼女の熱く火照った額に触れる。
じわりと彼女の温度が冷えた手に伝わり、その額の熱さに眉間に皺を寄せた。
「何故、嘆きのマートルのところにいた」
「……ちょっと、人のいない所にいたくて」
流石にポリジュース薬を作る材料を見るために、嘆きのマートルのところにいたとは言えずに誤魔化した。