第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
「やめろよ」
ロンは呆れながらもハーマイオニーから紙を奪い取ると、マダム・ピンスに渡す。
「サインならまたもらってあげるよ。ロックハートときたら、サインする間だけ動かないでじっとしてる物なら、何にでもサインするよ」
マダム・ピンスはサインが偽物ではないかと疑っていたようで、紙を透かしたりと凝視したりとしていた。
だけど偽物ではないと判断されたようで、検査は無事通過する。
サインを本物だと判断したマダム・ピンスは、数分後に大きなかび臭い匂いをさせた本を持ってきた。
ハーマイオニーがそれを受け取ると、大切そうにカバンの中に入れる。
「無事に手に入れられたわね」
「ええ」
4人は誰にも見られないようにと、『嘆きのマートル』がいるトイレに立ちこもっていた。
ここならば『故障中』だから人が入ってくることもないし、何より『嘆きのマートル』ないるのだから邪魔は入ってこないと。
「こんなに複雑な魔法薬は、初めてお目にかかるわ」
ハーマイオニーは『最も強力な魔法薬』を読んでからそう呟いた。
「クサカゲロウ、ヒル、満月草にニワヤナギ」
「あら、それなら生徒用の材料棚にあるわね」
「ええ、だから簡単だわ。自分で勝手に取れるもの。あ、ウーッ、見てよ。二角獣の角の粉末。これ、どこで手に入れたらいいかわからないわ。……毒ツルヘビの皮の千切り……これも難しいわね。それに、当然だけど、変身したい相手の1部」
「なんだって?どういうみ意味?変身したい相手の1部って。僕、クラッブの足の爪なんか入ったら、絶対飲まなかいからね」
「誰もそんなの飲みたくないわよ」
ロンの言葉にアリアネは食ってかかるように言う。
誰だって嫌いな人間のそんなものが入ったものは飲みたくないのである。
だがハーマイオニーはそんなロンとアリアネを無視してから話し続けた。
「でも、それはまだ心配する必要はないわ。最後に手入れればいいんだから……」
ハリーは心配だった。
生徒用棚にある薬物はまだいいが、手に入らなさそうなものはどうするのかと。
「ハーマイオニー、どんなにいろいろ盗まなきゃならないか、わかってる?毒ツルヘビの皮の千切りなんて、生徒用の棚には絶対にあるはずなしい。どうするの?スネイプの個人用の保管倉庫に盗みに入るの?うまくいかないような気がする……」