第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
「はい、先生。本当に素晴らしいわ。先生が最後のグールを、茶漉で引っ掛けるやり方なんて……」
「そうね、学年こ最優秀生をちょっと応援してあげても、誰も文句は言わないでしょう」
ロックハートはにこやかに、大きな孔雀の羽根ペンを取り出して見せた。
「どうです。素敵でしょう?これは、いつもは本のサイン用なんですがね」
すらすらとロックハートは大きな丸字でサインをしてからハーマイオニーへと渡す。
アリアネはロックハートに見えない位置で喜び、ロックハートが容易くて良かったと思った。
ハーマイオニーは受け取った紙を丸め、鞄へと滑り込ませていた。
ロックハートはというと、ハリーに声をかけている。
「で、ハリー。明日はシーズン最後のクィディッチ試合だね?グリフィンドール対スリザリン。そうでしょう?君はなかなか役に立つ選手だって聞いてるよ。私もシーカーだった。ナショナル・チームに入らないかと誘いも受けたのですがね」
その言葉にアリアネは『本当なのかしら』とつぶやき、ロンは肩を竦めて見せた。
「闇の魔力の根絶することに生涯を捧げる生き方を選んだんですよ。しかし、軽い個人訓練を必要とすることがあったら、ご遠慮なくね。いつでも喜んで、私より能力の劣る選手に経験を伝授しますよ……」
ハリーは曖昧に返事をしてから、教室を出ようとしていたロンとアリアネとハーマイオニーを追いかけた。
「信じられないよ。僕たちが何の本を借りるのか、見もしなかったよ」
「そりゃ、あいつ、脳無しだもの。どうでもいいけど。僕たちはほしいものを手に入れたんだし」
「ロックハートがいて良かったわね。こういう時は役に立つわ」
3人がロックハートを貶していれば、ハーマイオニーがそれを否定した。
「脳無しなんかじゃないわ」
「君が学年で最優秀の生徒だって、あいつがそう言ったからね……」
4人は図書室に入り込む。
声を潜めないと、マダム・ピンスが怒りながらやって来るのだから静かに入った。
そしてマダム・ピンスに『禁書』を読ませて欲しいとお願いする。
「『最も強力な魔法薬』?」
マダム・ピンスは疑わしそうにしながらも、許可証をハーマイオニーから受け取ろうとする。
だが何故かハーマイオニーはそれを離そぅとはしなかった。
「これ、私が持っていてもいいでしょうか」