第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
「あの人なら、サインしてくれそうじゃない?ファンだからサインが欲しいとか、おだてたらサインしたりしてくれそうと思うわ」
「それだよアリアネ、その人だ!」
「ロックハートならサインしてくれる!」
そうして、4人はロックハートに狙いを定めた。
サインをしてらもうならば、次にある『闇の魔術に対する防衛術』の授業である。
「ロックハートにサインさせるぞ……!」
❈*❈*❈*❈*❈*❈*❈
ピクシーの事件以来、ロックハートは生き物を持ってきての授業は行っていない。
その代わりに自分の著書を拾い読みして、時には生徒に相手役を努めさせて劇的な場面を演じさせていた。
相手役はバラバラに指名するが、圧倒的にハリーとアリアネが多かった。
今日の授業では、ハリーが狼男役をさせられているが断ることはない。
だってロックハートを上機嫌にさせなければいけないから。
「ハリー、大きく吠えて、そう、そう。そしてですね、信じられないかもしれないが、私は飛びかかった。こんなふうに。相手を床に叩きつけた」
ハリーに狼男役を務めさせながら、ロックハートは自分が偉大にも狼男の相手をした話をする。
アリアネは何度も欠伸をしそうになったが、今日だけは我慢していた。
しばらくすると授業の終わりを告げるベルが鳴る。
ロックハートは立ち上がると生徒たちに宿題を告げた。
「宿題。ワガワガの狼男が私二敗北したことについての詩を書くこと!1番よく書けた生徒にはサイン入りの『私はマジックだ』を進呈!」
皆が教室が出ていく。
そのすきに、ハーマイオニーが紙切れの1枚を握りしめながらロックハートに近づいた。
「あの、ロックハート先生?私、たの、図書室からこの本を借りたいんです。参考に読むだけです」
ハーマイオニーは紙をロックハートに差し出した。
「問題は、これが『禁書』の棚にあって、それで、どなたか先生にサインをいただかないといけないんです。先生の『グールお化けとこクールな散策』に出てくる、ゆっくり効く毒薬を理解するのに、きっと役に立つと思います……」
「あぁ、『グールお化けとのクールな散策』ね!」
ロックハートはなんの疑問も抱かずに、ハーマイオニーから紙を受け取ってから笑いかけていた。
「私の1番のお気に入りの本と言えるかもしれない。おもしろかった?」