第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
本当に嬉しかった。
スリザリンが嫌だという理由もあったけれど、見知った人がいる寮にどうしても入りたかったから。
ウィーズリー兄弟がいるグリフィンドールに入れたことに安堵する。
「グレンジャー、ハーマイオニー!」
すると、ハーマイオニーが呼ばれる声がした。
振り向けば彼女は走るように椅子に駆け寄り、緊張したようにしながら帽子を被っている。
「グリフィンドール!」
帽子は迷うことなく、グリフィンドールの名前を口にする。
するとハーマイオニーは嬉しげにしながらこちらに歩いてくるので、私は彼女に手を差し出して握手を交わす。
「よろしくね、ハーマイオニー」
「ええ、こちらこそよろしくね。アリアネ。貴方と同じ寮になれるとは思わなかったわ」
「私もよ」
彼女とは仲のいい親友関係になれたら良いな。
そう思いながら、未だに呼ばれていないハリーとロンへと視線を投げかける。
二人とも緊張したような面持ちで立ち尽くしていて、ロンに関しては顔色が悪い。
大丈夫かしらと不安になるほどの緊張具合が伝わる二人に、見ている私まで緊張してしまいそう。
二人ともグリフィンドールなら良いのにと、つい願ってしまった。
「ロングボトム、ネビル!」
あのヒキガエルに逃げられたネビルが呼ばれ、彼はグリフィンドールに選ばれた。
それから何人もの人間が呼ばれていて、ふとドラコ・マルフォイが目に入る。
きっとあの人はスリザリンだ。
両親がスリザリンだし、性格からしてきっとスリザリンなはず。
そう思っていれば、案の定帽子は彼に触れるか触れないかで『スリザリン!』と叫ぶ。
「ハリーとロンは何処の寮に入るのかしら……」
「不安そうね、アリアネ」
「出来れば二人とも同じグリフィンドールだったら凄く嬉しいわ」
「そういえば、貴方とあの二人はどういう仲なの?」
「ロン……あの赤毛の子は私の幼馴染で訳けあって小さい頃から一緒に育った姉弟のような関係性なの。ハリーは幼馴染になる予定だった子よ」
「そういえば、貴方とハリーの名前が乗っている本に書いてあったわね。二人は隣同士の家で、幼馴染として育つはずだった子供たちって」
「……そんな事まで書いてあるの?」
ハーマイオニーの言葉に、私は思わず顔を顰めてしまう。
本にはどこまで私たちのことが書いてあるんだろうと、疑問に思ってしまった。