第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
「フィンチ、フレッチリー、ジャスティン!」
「ハッフルパフ!」
ふと、ある事に気がつく。
組み分け帽子は直ぐに寮を決めることもあるけれども、かなり悩んでから決める時もあることを。
「フィネガン、シェーマス」
そう呼ばれた子なんて、一分間ぐらい組み分け帽子が悩んでいた。
しばらくしてやっと『グリフィンドール』と言われる。
私は悩まれることなく、出来ればグリフィンドールがいい。
ウィーズリー兄弟もグリフィンドールなのだから、私もそこが良いと思っていれば、名前を呼ばれた。
「フリート、イリアス、アリアネ!」
すると、ざわりと大広間がざわつく。
そして歩き出し、帽子の方へと向かえば視線が私に向くのが分かった。
「フリートって、旧い純血の……滅びたって言われてる……」
「滅びてないんだよ、それが。あの子が旧き純血の家、フリート家の生き残りだ」
囁かれる言葉が気になるけれども、私はあえて気にしないように自分に言い聞かせながら椅子に座る。
そしてマクゴナガル先生により、頭の上に帽子を被せられた。
「ふむ……難しい。非常に難しい。勇気に満ちていて、頭も良い。才能もあるが、欲望もある。スリザリン、レイブンクロー、いやはや、グリフィンドールか……」
「す、スリザリンは……嫌です」
スリザリンの名前を出された私は、思わず肩を跳ねさせながら小声で呟く。
「ほう、スリザリンは嫌かね……。ふむ、それなら君の寮は決まった。グリフィンドール!」
そう叫ばれた瞬間、私は安堵の息を深く深く吐いた。
スリザリンだけは選ばれなくて良かったと思っていれば、グリフィンドール寮のテーブル席から歓声が湧き上がる。
「フリート家のお姫様は、グリフィンドールの手に!」
「いいや、フリート家じゃなくてウィーズリー家のお姫様だ!」
なんて叫んでいるのはジョージとフレッドだ。
私は足早にグリフィンドール寮のテーブル席に向かえば、フレッドに勢いよく抱きしめられる。
そしてパーシーからは頭を撫でられたり、ジョージからも頭を撫でられてのウィーズリー兄弟からの歓迎が熱い。
「アリアネはグリフィンドールに来るって思ってたぜ!」
「ウィーズリー家のお姫様が他の寮に取られなくて良かった!」
「アリアネ、グリフィンドールにようこそ!」
「ありがとう!パーシー、ジョージ、フレッド!」