第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
しかしコリンは人の波にさらわれてしまい、大広間の方へと流されてしまった。
「あとで、ハリー!」
「クラスの子があなたのこと、なんて言ってたのかしら?」
ハーマイオニーは流されていったコリンへと視線を向けてから、怪訝そうにしながらハリーに聞く。
「僕がスリザリンの継承者だとか言ってたんだろう。それと僕だけじゃないよ、アリアネもだ」
「え、私……!?」
「そうみたいだよ」
なぜ、自分も継承者だと言われているのかわからないアリアネは目を見開かせていた。
「ここの連中ときたら、何でも信じ込むんだから」
「何で私が……」
「アリアネ、あなた相当ショックを受けてるの?もしかして……」
アリアネは自分が嫌いな寮の継承者だと言われている事実にショックを受けていた。
そんな彼女の背中をハーマイオニーは撫でてやりながら、一緒に次の階段へと上がる。
するとロンがハーマイオニーに問いかけた。
「『秘密の部屋』があるって、君、本当にそう思う?」
「わからないけど。ダンブルドアがミセス・ノリスを治してやれなかった。ということは、私、考えたんだけど、猫を襲ったのは、もしかしたら、ウーン、ヒトじゃないかもしれない」
ハーマイオニーがそう言った時、4人はちょうどあの事件があった廊下の端に来ていた。
あの夜、松明の所に猫はぶら下げられていたのである。
「あら?壁の所に椅子が置かれてるわ」
「本当だ」
「あそこ、フィルチが見張ってるとこだ」
ロンは嫌そうに呟く。
周りは誰1人いなくて、そこにいるのは4人だけ。
「ちょっと調べたって悪くないだろ」
ハリーは鞄を放り投げ、それをアリアネがキャッチする。
するとハリーは四つん這いになってから何か、手がかりはないだろうかと探り始める。
「焼け焦げだ!あっちにも、こっちにも」
その時、ハーマイオニーが叫んだ。
「来てみて!変だわ……」
「……蜘蛛がこんなにたくさん」
壁の文字のすぐ脇の窓。
そこからは20匹あまりの蜘蛛がガラスの割れ目からガサガサと音を鳴らして這い出そうとしている。
それがなんとも気持ち悪くアリアネは顔を歪めて、目を細めながら蜘蛛を見つめた。
「蜘蛛があんなふうに行動するの見た事ある?」
「無いわね」
「ううん。ロン、君は?ロン?」