第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
ビンズはハーマイオニーとアリアネをまじまじと見つめていた。
「しかしながらです。あなたが仰るところの伝説はと言えば、これはまことに人騒がせなものであり、荒唐無稽な話とさえ言えるものであり……」
今まで魔法史を聞いていなかった生徒たちは、しっかりと目を開けてビンズの話に耳を傾けていた。
興味があるのものであれば、生徒たちはちゃんと起きて話を聞くものである。
「あー、よろしい。さて……『秘密の部屋』とは……皆さんも知ってのとおり、ホグワーツは1000年以上も前、正確な年号は不明ではあるからにして、その当時の、もっもと偉大なる4人の魔女と魔法使いたちによって、創設されたものであります。創設者の名前にちなみ、その4つの学寮を、次のように名付けたのであります。すなわち、ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、そしてサラザール・スリザリン」
4人の苗字には今の学寮の名前がある。
アリアネは何となく、その名前を羊皮紙に書いていった。
いつか役に立つ時があるかもしれないと思い。
「彼らはマグルの詮索好きな目から遠く離れたこの地に、ともにこの城を築いたのであります。なぜならば、その時代には魔法は一般の人々の恐れるところであり、魔女や魔法使いは多大なる迫害を受けたからであります」
ビンズは一旦一息を入れてから話し出す。
「数年の間、創設者たちは和気あいあいで、魔法力を示した若者たちを探し出しては、この城に誘って教育をしたのであります。しかしながら、4人の間に意見の相違が出てきた。スリザリンと他の3人との亀裂が広がっていった。スリザリンは、ホグワーツには選別された生徒のみが入学を許されるべきだと考えた。魔法教育は、純粋に魔法族の家系のみ与えられるべきだという信念を持ち、マグルの親を持つ生徒は学ぶ資格がないと考えて、入学させることを嫌ったのであります」
その言葉を聞いたアリアネはすぐに『純血主義』の一族たちを思い出した。
同時にマルフォイとルシウス・マルフォイのことを思い浮かべて、機嫌が急降下していく。
「しばらくして、この問題をめぐり、スリザリンとグリフィンドールが激しく言い争い、スリザリンが学校を去ったのであります」
「この時からグリフィンドールとスリザリンは仲が悪いのね……」