第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
フレッドにからかわれた怒りと、うなじにキスされた恥ずかしさでキャパオーバーを起こしそう。
そう思いながらフレッドを叩こうとすれば、彼はすんなりとそれを交わした。
「じゃあ、俺はもう行くぜ。ジョージと悪戯しないといけない夜だから。次のハロウィーンも悪戯出来るのを楽しみにしてるからな、お姫様?」
「次はお菓子用意してるわよ!馬鹿!」
いたずらっ子の笑顔を浮かべたフレッドはそのまま大広間の方へと走っていってしまった。
そんな彼を見送り、私もお腹が空いているので大広間へと戻ろうとしたときである。
「あら、ハリー達だわ」
もう首無しニックのパーティは終わったのかなと思いながら、3人の方へと歩いていく。
「ハリー、ロン、ハーマイオニー」
「あら、アリアネ。スネイプから解放されたのね」
「え?ええ、まぁ。それより首無しニックのパーティは終わったの?」
「異常過ぎてその場にいられないから帰ってきたんだよ」
何があったのかしらと思いながら苦笑を浮かべる。
ゴーストのパーティだから、かなり恐怖心が湧き出るようなことがあったのかもしれない。
そう思いながら私たちは大広間の方へと歩いていく。
「デザートがまだ残っているかもしれない」
「残ってるといいわね。あら……ハリー、貴方髪の毛にゴミがついてるわよ」
ふと、ハリーの方を見ると彼の前髪にゴミがついていた。
ホコリのようなゴミで、彼は私の言葉に目を見開かせてから髪の毛に触れる。
だけどゴミは取れることはなく、未だについていた。
「取れてないわ、ハリー。ちょっと待ってちょうだい、取るから」
「ありがとう、アリアネ」
彼の額にある傷近くに触れた時だった。
バチッと静電気のようなものが指に伝わる。
「いっ!?」
「いった!?」
私とハリーは顔を歪ませて離れる。
(なに、いまの……静電気?でも静電気より痛かった気がしたけど……)
ハリーと私の声にハーマイオニーたちは驚いた顔を浮かべていた。
「どうかしたの、2人とも」
「今、アリアネが僕の額に触れた時に静電気みたいな……でもそれ以上に痛いなにかが」
「……何だったのかしら、いまの」
ハリーと2人で困惑しながら、お互い顔を見合わせていた時である。
地を這うような、冷たい声が聞こえてきた。
「……引き裂いてやる……八つ裂きにしてやる……殺してやる……」