第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
吐き出すのを辞めたロンが顔を表して言う。
「『穢れた血』って、マグルから生まれたっていう意味の、つまり両親とも魔法使いじゃない者を指す最低の汚らわしい呼び方なんだ。魔法使いの中には、たとえばマルフォイ一族みたいに、みんなが『純血』って呼ぶものだから、自分たちが誰よりも偉いって思っている連中がいるんだ」
「でもそれは大間違いなのよ。純血だからって何もかも偉いわけじゃないわ。結局はただの『血』よ。その『血』にこだわる理由が分からないわ」
「そうそう。それに、そういう連中以外は、そんなこと全く関係ないって知ってるよ。ネビル・ロングボトムを見てごらんよ。あいつは純血だけど、鍋を逆さまに火にかけたりしかねないぜ」
純血だからなんでもできる訳じゃない。
マルフォイのような人間たち以外はちゃんとそれを理解できている。
だがマルフォイ一族やその他の純血は、自分たちこそが至高であると思っているのもいるのだ。
「それに、俺たちのハーマイオニーが使えねえ呪文は、いままでひとっつもなかったぞ」
「そうよ!ハーマイオニーは純血だなんて偉そうにしているマルフォイより何でも出来るもの」
アリアネとハグリッドの言葉に、ハーマイオニーは頬を紅潮させて嬉しそうにしていた。
「他人のことをそんなふうに罵るなんて、むかつくよ。『穢れた血』だなんて、まったく。卑しい血だなんて。狂ってるよ。どうせ今時、魔法使いはほとんど混血なんだぜ。もしマグルと結婚してなかったら、僕たちとっくに絶滅しちゃってたよ」
「本当にそうよ。というか純血は腐った血なのよ。あ、ロン達は違うわよ?古い考えしかしないものだから、頭や血にカビが生えてるに決まってるわ。やっぱりあの時、あいつら全員に呪いをかけておくべきだったわ」
ロンは再度嘔吐きはじめると、テーブルの下に消えてしまった。
「ウーム、そりゃ、ロン、やつに呪いをかけたくなるのも無理はねぇ」
「でしょう?私も呪いをかけるべきだったわ……それが何発が殴るべきだった」
「やめとけやめとけ、アリアネ。女の子なんだぞ」
拳を握りしめるアリアネをやんわりと宥めながらハグリッドは彼女に落ち着くようにと、お茶とクッキーを差し出した。
それを受け取ったアリアネはほんの少しだけ落ち着いたようだ。