第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
ハグリッドがホグワーツの教師を批判することは、まずそうないこと。
あのスネイプの事さえ批判しないハグリッドが、ロックハートは批判している。
その事にアリアネは目を見開かせながら、ファングの頭を撫でてやっていた。
「やっこさんの言っとることが1つでもほんとだったら、俺はへそで茶を沸かしてみせるわい」
ハグリッドらしくない。
そう思っていたアリアネとハリーだが、ハーマイオニーだけが反論した。
「それって、少し偏見じゃないかしら。ダンブルドア先生は、あの先生が1番適任だとお考えになったわけだし」
「ほかにだーれもおらんかったんだ」
糖蜜ヌガーを皿に入れたハグリッドは、4人にそれをすすめながら話した。
「人っ子ひとりおらんかったんだ。闇の魔術の先生をする者を探すのが難しくなっちょる。だーれも進んでそんなことをやろうとせん。な?みんなこりゃ縁起が悪いと思いはじめたな。ここんとこ、だーれも長続きした者はおらんしな。それで?やっこさん、誰にのろいをかけるつもりだったんかい?」
ハグリッドはナメクジを未だに吐いているロンを顎で指さした。
「マルフォイがハーマイオニーのことを何とかって呼んだんだ。ものすごいひどい悪口なんだと思う。だって、みんなカンカンだったもの。アリアネなんてマルフォイの胸ぐら掴んでたよ」
「ほんとにひどい悪口さ。マルフォイのやつ、ハーマイオニーのこと『穢れた血』って言ったんだよ。ハグリッド」
ロンはそれだけを言うとテーブルの下に消えた。
どうやらまたナメクジを吐き出しているらしく、嘔吐く音が聞こえてくる。
そして、理由を知ったハグリッドは大憤慨していて、アリアネも怒りに怒っていた。
「そんなことを、本当に言うたのか!」
「言ったわよ。でも、どいう意味だか私は知らない。もちろん、ものすごく失礼な言葉だということはわかったけど……」
「あまり知らない方がいいけれど……そうね、ハーマイオニーやハリーはこれからまた聞くかもしれないものね。知っておいた方がいいかもしれないわ」
アリアネは眉を寄せながらロンの背中をさすっていた。
本当は2人が知らなくてもいいと思っていたけれど、ハーマイオニーはとくにこれからの為にも知っておいた方がいいかもしれないと彼女は息を吐く。
「あいつの思いつくかぎり最悪の侮辱の言葉だ」