第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
「だけど、おまえさんの杖が逆噴射したのはかえってよかったかもしれん。ルシウス・マルフォイが、学校に乗り込んで来おったかもしれんぞ、おまえさんがやつの息子に呪いをかけちまってたら。少なくとも、おまえさんは面倒に巻き込まれずにすんだっちゅうもんだ」
「じゃあ、尚更私が攻撃すれば良かったわ。ルシウス・マルフォイは私にならぐうの音も出ないでしょう。絶縁した幼なじみの子供なんだから」
ふんと鼻を鳴らしながらアリアネは紅茶を1口飲む。
彼女の父親であるウィリアスとルシウスが絶縁したのは、今回の事件と少し似たようなものだった。
ルシウス・マルフォイは、ウィリアスがヘレンと結婚すると伝えた時に彼女にこう言ったのだ、『穢れた血の分際で、純血と結婚するのか』と。
その時、ウィリアスは大激怒してそこから大乱闘になり絶縁したという。
「親も親なら、子も子ね。同じことを言うなんて」
「ウィリアスから聞いたぞ、その話。とんでもない大乱闘になったらしいからな」
「もしかして、アリアネが喧嘩っ早いのって……」
「ウィリアス、この子の父親の血だ」
なるほどと、ハーマイオニーとハリーは頷いた。
彼女の喧嘩っ早いのは父親譲りなんだと思いながら、ハリーは接着剤のような糖蜜ヌガーと格闘する。
「ハリー」
ふいに、ハグリッドがハリーの名を呼んだ。
「おまえさんにもちいと小言を言うぞ。サイン入りの写真を配ってとるそうじゃないか。なんで俺に1枚くれんのかい?」
「ハグリッド!ハリーはそんなことしてないわよ!」
ハグリッドの言葉にハリーとアリアネは怒った。
「そうだよ!サイン入りの写真なんて、僕、配ってない。もしロックハートがまだそんなこと言いふらして……」
ムキになったハリーがハグリッドを見れば、彼は可笑しそうに笑っていた。
「からかっただけだ」
落ち着かせるように、ハグリッドはハリーの背中を優しくポンポンと叩いた。
「おまえさんがそんなことせんのは分かっとる。ロックハートに言ってやったわ。おまえさんはそんな必要ねえって。何にもせんでも、おまえさんはやっこさんより有名だって」
「ロックハートは気に入らないって顔してたでしょう」
「あぁ、気に入らんだろう」
「気に入らないでしょうね、あの人は。自分よりハリーが有名だなんて言われたら」