第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
何だかロックハートは声高にハグリッドに言っていて、アリアネとハリーは眉を寄せていた。
何を話しているのだろうと茂みの中から様子を見ていれば、ロックハートはご機嫌に話をしている。
「助けて欲しいことがあれば、いつでも私のところにいらっしゃい!私の著書を1冊進呈しましょう。まだ持っていないとは驚きましたね。今夜サインをして、こちらに送りますよ。では、お暇しましょう!」
上機嫌で話し終えたロックハートは城へと消えていく。
それを見送ったアリアネとハリーは今がチャンスと茂みから出ると小屋へと向かった。
ハグリッドの小屋を何度が叩く。
すると不機嫌そうに顔を歪ませているハグリッドが出てきたが、直ぐに来客してきたのがアリアネとハリー、そしてロンとハーマイオニーと知ると顔を輝かせた。
「いつ来るんか、いつ来るんかと待っとったぞ。さあ入った、入った。実はロックハート先生がまーた来たかと思ったんでな」
中に入ったアリアネたちは、何が起きたかを説明する。
するとハグリッドはナメクジに動じること無く、大きな銅の洗面器をロンに渡す。
「出てこんよりは出した方がええ。ロン、みんな吐いっちまえ」
「止まるのを待つほか手がないと思うわ」
「じゃあ、全て吐き出して終わるのを待つしかないわね」
ロンは洗面器を抱えて、またナメクジを吐き出していた。
「あの呪いって、たださえ難しいのよ。まして杖が折れてたら……」
「杖が折れてるのに無理するからよ」
ポッキリと折れている杖は無惨な姿をしていた。
それで呪いをかければ、間違って自分に呪いをかけてしまうのも無理は無い。
ハグリッドはそんな会話を聞きながらもお茶の用意をして、ハグリッドの犬であるファングはハリーとアリアネの頬を交互に舐めまわしていた。
「ねえ、ハグリッド、ロックハートは何の用だったの?」
「あ、そういえば私も気になったわ」
アリアネとハリーはファングの耳の後ろを撫でたりとしたながら訊ねた。
「井戸の中から水魔を追っ払う方法を俺に教えようとしてな」
「ハグリッドなら、そのぐらい知っているじゃない」
「ああ、知っているとも。なのにまるで俺が知らんとでもいうようにな。その上、自分が泣き妖怪とか何とかを追っ払た話を、さんざんぶち上げとった」