第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
「あ、ハリー達よ」
スタンドに腰掛けていたアリアネは、マーマレード・トーストを齧りながら更衣室から出てきたハリーを見つける。
ハリーもまた、スタンドに座っているアリアネとロンとハーマイオニーを見つけて駆け寄った。
「まだ終わってないのかい?」
「まだ始まってもいないんだよ。ウッドが新しい動きを教えてくれてたんだ」
「そうなのね。はい、ハリー。ちょっとは何か食べてた方がいいと思うわ」
「ありがとう、アリアネ」
食べやすいようにとハウスエルフに、マーマレード・トーストを1口サイズに切ってもらっていたのでハリーはそれをアリアネから受け取り口へと放り投げる。
甘酸っぱい味が口の中に広がり、空腹感が少しだけ満たされていた。
トーストを持ってきてくれた事に感謝しながら、ハリーはウッドたちの元に走っていった。
そして箒に跨ると地面を蹴り上げて、空中へと舞い上がる。
「やっぱりハリーの箒の扱いは凄いわね」
「本当よね。私なんか去年、箒を持ち上げることも出来なかったのよね。今は飛べるけれど」
「ハリーの箒の技術は僕たちには真似出来ないさ。ていうか、さっきからカシャカシャ音が聞こえないかい?」
「するわね。カメラの音……?」
ロンとアリアネは視線をさ迷わせて、カシャカシャと聞こえる音の元を探した。
すると、カメラを構えてハリーを撮影しているコリンの姿を見つける。
「こっち向いて、ハリー!こっちだよ!」
「コリンだわ」
「あいつ、またハリーの写真を撮ってるのか。あの写真、ジニーが買いそうだよ」
「……ねえ、アリアネ、ロン。見て」
コリンへと視線を向けていた2人にハーマイオニーは声をかけた。
どうしたのだろうと2人がハーマイオニーへと視線を向ければ、彼女は指差す。
その方向へと視線を向ければ、そこにはスリザリン寮生のクィディッチのメンバー達がいた。
「スリザリン寮生……?」
すると、グリフィンドールのクィディッチチームのキャプンテンであるウッドが怒りながらスリザリン寮生へと近づいているのが見えた。
「フリント!我々の練習時間だ。その為に特別に早起きしたんだ!今すぐ立ち去ってもらおう!」
「ウッド、俺たち全員が使えるぐらい広いだろ」
マーカス・フリントはニヤついた笑みを浮かべながらそう答えた。