第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「ギルデロイ・ロックハート。勲三等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、そして『週間魔女』5回連続『チャーミング・スマイル賞』受賞。もっとも、私はそんな話をするつもりではありませんよ。バンドンの泣き妖怪バンシーをスマイルで追っ払ったわけじゃありませんしね!」
ごく数人が曖昧に笑う。
アリアネとハリーとロンは『何を言っているんだ』と言わんばかりの表情を浮かべていた。
「全員が私の本を全巻揃えたようだね。大変よろしい。今日は最初にちょっとミニテストをやろうと思います。心配ご無用。君たちがどのぐらい私の本を読んでいるか、どのぐらい覚えているかをチェックするだけですからね」
ロックハートはテストペーパーを配った。
「30分ですよ。よーい、はじめ!」
アリアネはテストペーパーを見て、本日何回目かのげんなりとした表情を浮かべた。
テストというので、てっきり『闇の魔術に対する防衛術』についてのテストかと思っていたがどうも違う。
1. ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何?
2. ギルデロイ・ロックハートの密かな大望な何?
3. 現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたが何が1番偉大だと思うか?
アリアネはテストを空白で提出しようかなと思った。
実際ほとんど書けずに空白であり、それでロックハートに提出した。
「チッチッチ。私の好きな色はライラック色だということを、ほとんど誰も覚えていないようだね。『雪男とゆっくり1年』の中でそう言っているのに。『狼男との大いなる山歩き』をもう少ししっかり読まなければならない子も何人かいるようだ。第12章ではっきり書いているように、私の誕生日の理想的な贈り物は、魔法界と、非魔法界のハーモニーですね。もっとも、オグデンのオールド・ファイア・ウィスキーの大瓶でもお断りはいたしませんよ!」
アリアネとロンはもう呆れて物も言えないと言わんばかりの表情でロックハートを見ていた。
こんなもの分かるわけないし、本を実在2人は読んでいないので分からないに決まっている。
そんな中で、ハーマイオニーだけがうっとりとした表情でロックハートを見ていた。
「ハーマイオニー、貴方……そんな目でロックハート先生を見ないのよ」
「べ、別にへんな目で見てないわよ……!」