第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「サイン入りの写真を配っているのは誰かな?」
「……面倒臭いのが来たわ」
アリアネはロックハートを見た瞬間げんなりとしてから、ハーマイオニーの後ろに隠れた。
ハリーも同じように隠れようとしたけれど、一足遅くてロックハートに見つかってしまう。
「聞くまでもなかった!ハリー、また逢ったね!」
ハリーはアリアネを少し睨んだ。
そしてロックハートに羽交い締めされている事に屈辱感を味わいながら、マルフォイがニヤニヤとしながら人垣に入ったを見た。
「さあ、撮りたまえ。クリービー君。2人一緒のツーショットだ。最高だと言えるね。しかも、君のために2人でサインしよう」
コリンは最初はポカンとしていたけれど、慌てて写真を撮っていた。
そんな姿を見ていたアリアネは、少しコリンを哀れに思いながらも隠れ続ける。
すると、午後の授業の始まりのベルが鳴る。
全員が顔を上げて、そして何人かは直ぐにクラスへと向かうために歩き出していた。
「さあ、行きたまえ。みんな急いで」
ロックハートはそう呼びかけると、ハリーを抱えて行ってしまった。
「あ、ハリー!」
「なんであの人、ハリーを抱えて行ったんだ?ハリー!!」
「もう!全然休み時間を有意義に過ごせなかったわ」
やっと3人はハリーとロックハートに追いついた。
そして『闇の魔術に対する防衛術』の教室に入ると、ロックハートの本を山積みにしているハリーを見つけて3人はハリーの元に腰掛ける。
「顔で目玉焼きが出来そうだったよ」
「ハリー、あなたすごい顔してるわ……」
「クリービーとジニーがどうぞ出逢いませんように、だね。じゃないと、2人でハリー・ポッターファンクラブを始めちゃうよ」
「やめてくれよ」
だがアリアネはロンの言葉に確かにと小さく頷いていた。
ジニーはハリーに好意を抱いているし、コリンはあの通りである。
本当に2人が出逢えばファンクラブを作るそうだと思っていればロックハートが大きく咳払いをした。
ロックハートはネビルの持っていた『トロールとのとろい旅』という本を持ち上げた。
自分自身が写っている写真の本を持ち上げて、ウィンクする。
「私だ」
「本人なのは誰にでも分かるわよ……」
ボソリとアリアネが呟くが、その呟きはロックハートには聞こえていない。