第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
すると、一人のゴーストが私たちの存在に気が付いて声をかけてきた。
「おや、君たち、ここで何してるんだい」
「新入生じゃな。これから組み分けされるところか?」
もう一人のゴーストが笑いかけながら質問すると、私や他の新入生たちは頷いてみせる。
「ハッフルパフで会えるとよいな。わしはそこの卒業生じゃからの」
何年前の卒業生なんだろう……と質問しようと思った時だった。
部屋の扉が開いて、マクゴナガル先生が戻ってきた。
「さあ行きますよ。組み分け儀式が間もなく始まります。さあ、一列になって。ついてきてください」
いよいよ、組み分け儀式。
私はハリーの後ろに並びながら、マクゴナガル先生について歩き出した。
再び玄関ホールに戻り、二重扉を通って大広間に入る。
そこに入った瞬間、また私は感動して息を小さく洩らしてしまった。
何千という数の空中に浮かぶ蝋燭、四つの長テーブル、テーブルに並ぶキラキラ輝く金色の皿にゴブレット。
そして上級生たちは私達を見ながら笑を浮かべていた。
(あ、フレッドとジョージにパーシーだわ)
途中でウィーズリー家の兄たちの姿を見つければ、双子たちと目が合う。
そして二人はこちらへと手を振っていて、私は小さく下の方で手を振り返した。
そして、広間の上座にもテーブルがあるのに気がつく。
どうやらそこは先生たちが座る場所のようで、私はある一人を見つけて目を見開く。
「……え?」
「どうしたの、アリアネ」
「あ、……ううん。なんでもないわ、ハリー」
私の驚きの声に、ハリーが振り向いたので首を左右に振ってから『なんでもないわ』と平然とした表情を浮かべて見せるけど、内心は驚いてばかりだ。
(あの人、まさかホグワーツの教師だったの?私、そんな話は聞いてないわ。もしそうなら、言ってくれたら良いのに)
視線の先に、真っ黒な服装をした一人の教師がいた。
よく知っている細い瞳、特徴的なちょっと大きな鼻に私と同じ真っ黒な髪の毛。
間違いなく、私が知っているその人だった。
「……あとで、聞いてみるしかないわね」
ぽつとり呟いていれば、マクゴナガル先生は上座のテーブルの前で足を止める。
そして私たちを上級生の方に顔を向けさせ、先生方に背中を向ける格好で一列に並ばせた。