第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
私は、どの寮に入るんだろう。
できればロンやハリーと同じ寮が良いなと思いながらも、多少の不安が浮かんでいく。
スリザリンだけには入りたくないという不安が。
「まもなく全校列席の前で組み分けの儀式が始まります。待っている間、できるだけ身なりを整えておきなさい」
マクゴナガル先生の視線は、ネビルのマントの結び目が左耳の下の方にズレているのに向いた。
そして次に鼻の頭が汚れているロンに向き、私はどこか変なところはないかなと自分の身体を見たり、髪の毛を撫でたりしてみる。
多分、身だしなみは大丈夫なはず。
コンパートメントで手鏡で確認していたから、多分大丈夫よねと自分に言い聞かせた。
「学校側の準備ができたら戻ってきますから、静かに待っていてください」
そう言い残すと、マクゴナガル先生は出て行ってしまい、空き部屋には私たち新入生だけとなった。
するとざわざわと辺りで話し声が溢れ出す。
「いったいどうやって寮を決めるんだろう」
ハリーが少し眉を下げながら、私とロンに聞いてきた。
するとロンも不安げにしながら話す。
「試験のようなものだと思う。すごく痛いってフレッドが言ってたけど、きっと冗談だ」
「冗談に決まってるわ。痛い組み分けって一体何をするって言うのよ」
「ジョージとフレッドは直ぐ、僕を揶揄うよなあ……嫌になるよ」
でも、私も組み分けはどうやるのかは知らない。
パーシーやビルたちに聞いたら『当日までの楽しみにしておきなさい』と言われたから。
早く組み分け式が始まらないかな。
なんて思いながら、空き部屋の天井を見回している時だった。
悲鳴が響き渡ったのである。
「な、なに……!?」
「あ、あれ!アリアネあれみて……!」
「……何あれ」
思わず息を飲めば、ハリーやロンも息を飲んだ。
何せ、壁からゴーストが二十人ぐらい現れたのだから。
真珠のように白く、透き通った身体はまさしくゴースト。
そんなゴースト達は、私たちには見向きもせずに互いに話をしながらスルスルと部屋をよぎる。
聞いたところ、何やら議論しているみたい。
「もう許して忘れなされ。彼にはもう一度チャンスを与えましょうぞ」
「修道士さん。ピーブスは、あいつにとって十分過ぎるくらいのチャンスをやったじゃないか。我々の面汚しですよ。しかも、ご存知のように、やつは本当のゴーストじゃない」