第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
何百人という上級生が、私達を見ている。
好奇心と歓迎という色んな感情が入り交じった目に、少しだけ居心地の悪さを感じてしまう。
居心地の悪い視線から逃げるように、私は天井を見上げてみて驚いた。
ビードロのような黒い空に、点々と光る星に驚いていればハーマイオニーが呟く。
「本当の空に見えるように魔法がかけられているのよ。『ホグワーツの歴史』に書いてあったわ」
「ハーマイオニー、貴方、詳しいのね」
「ここに来る前に勉強していたの。勉強することはいい事よ、自分にとって特になるのだから。貴方も勉強することをオススメするわ」
「そうするわ。ありがとう、ハーマイオニー」
小さな声でハーマイオニーと話していれば、マクゴナガル先生が目の前に四本足のスツールを置いた。
そして椅子の上には魔法使いが被るとんがり帽子が置かれている。
(とんがり帽子……?)
首を小さく傾げながら、少し古びたとんがり帽子を眺める。
そしてざわざわと騒がしかった広間が一気に静まり返った。
(何が起きるのかしら……)
すると、帽子がぴくぴくと動き始める。
動く帽子なのね、と驚いていれば帽子に口が現れて歌い出した。
私はきれいじゃないけれど
人はみかけによらぬもの
私をしのぐ賢い帽子
あるなら私は身を引こう
山高帽子は真っ黒だ
シルクハットはすらりと高い
私はホグワーツの組み分け帽子
私は彼らの上を行く
君の頭に隠れたものを
組み分け帽子はお見通し
かぶれば君に教えよう
君が行くべき寮の名を
グリフィンドールに行くならば
勇気がある者が住う寮
勇猛果敢な騎士道で
他とは違うグリフィンドール
ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない
古き賢さレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう
スリザリンではもしかして
君はまことの友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ
かぶってごらん!恐れずに!
興奮せずに、お任せを!
君を私の手にゆだね(私は手なんかないけれど)
だって私は考える帽子!
歌が終わった瞬間、一斉に拍手喝采が響き渡った。
拍手された帽子は四つのテーブルへと、お辞儀してから静かになってしまう。
「つまり、帽子を被れば良いのね。組み分け儀式っていうから、もう少し気難しいものなのかと思ったわ」