第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「サイン入り写真?ポッター、君はサイン入り写真を配ってるのかい?」
ドラコ・マルフォイの声が響き渡る。
その声を聞いた瞬間、アリアネは眉間に皺を寄せながら不機嫌な表情を作った。
この男はどうしてこうも人を不機嫌にさせるのだろうと、苛立ちまで覚えてくる。
マルフォイはクラッブとゴイルを両脇に従えながら、コリンのすぐ後ろで立ち止まる。
「みんな、並べよ!ハリー・ポッターがサイン入り写真を配るそうだ!」
「僕はそんなことしてないぞ。マルフォイ、黙れ!」
「ええ、黙りなさいマルフォイ!いい加減にしないと、この間みたいな私が貴方を背中を蹴飛ばして間抜けな転け姿を周りに見せるわよ」
「……黙れ!フリート!本当に君は口減らずだな」
「口減らずで結構よ!」
ハリーも怒り、アリアネも怒っていれば小さなコリンが言い返した。
「君、焼き餅妬いてるんだ」
「妬いてる?何を?ぼくは、ありがたいことに、額の真ん中に醜い傷なんか必要ないね。頭をかち割られる事で特別な人間になるなんて、僕はそう思わないのでね」
「いい加減黙りなさいよ、マルフォイ!」
杖を取り出したアリアネに、マルフォイはビクッと体を震わせた。
アリアネは本気で怒れば、校則違反だなんて関係なしに魔法を放ちそうな人間だ。
マルフォイはそれに恐れていたが、アリアネの目の前にロンが立った。
「ナメクジでも食らえらマルフォイ」
「言葉に気をつけるんだね、ウィーズリー。これ以上いざこざを起こしたら、君のママがお迎えに来て、学校から連れて帰るよ。今度はちょっとでも規則、破ってごらん」
「マルフォイ……貴方ね……」
ついにアリアネの堪忍袋の緒が切れた。
元々彼女は気が長い方ではない、気が短いとも言えるほうでありマルフォイの胸ぐらを掴みあげる。
「そんなにも、舌を引き抜いてほしいようね」
「は、離せフリート!君もこれ以上規則を破るようなら!」
「退校させられるって言いたいのかしら?その時は貴方を巻き込んで退校してあげるわ。恥ずかしい思いをあなたにさせてからね!」
「アリアネ、辞めなさい!」
ハーマイオニーがそう叫ぶ中で、ロンも杖を取り出したときであった。
「いったい何事かな?いったいどうしたかな?」
騒ぎを聞きつけたギルデロイ・ロックハートがこちらに歩いてきたのである。