第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
ロックハートは何かを上機嫌で話していたが、ハリーはなんだか困っている。
何を話しているのだろうと思いながら近付けば、ロックハートは満足したように話し終えて何処かへと行ってしまった。
「ハリー」
声をかければ、ハリーは何処か疲れたような表情。
「どうかしたの?ロックハート先生に捕まってたみたいだけど」
「·····あの人、話が通じないよ。なんだか疲れた」
「そう·····」
何があったかは知らないけれど、ハリーは疲れたのだろうと思いながら彼を労わるように背中を撫でた。
そして私たちは温室に滑り込むように入り込んで、ハーマイオニー達の所へと向かう。
スプラウト先生は温室の真ん中に、架台を2つ並べて、その上に板を置いてベンチを作っていた。
ベンチには色違いの耳当てが20個ぐらい並んでいる。
「今日はマンドレイクの植え替えをやります。マンドレイクの特徴がわかる人はいますか?」
ハーマイオニーが1番先に手を挙げた。
「マンドレイク、別名マンドラゴラは強力な回復薬です。姿形を変えられたり、呪いをかけられた人を元の姿に戻すのに使われます」
「たいへんよろしい。グリフィンドールに10点」
スプラウト先生は満足そうに頷いた。
「マンドレイクはたいていの解毒剤の主成分になります。しかし、危険な面もあります。誰かその理由が言える人は?」
またハーマイオニーが1人で手を挙げる。
「マンドレイクの泣き声は、それを聞いた者にとって命取りになります」
「そのとおり。もう10点あげましょう。さて、ここにあるマンドレイクはまだ非常に若い」
スプラウト先生が指さした苗を、皆は見ようと詰め寄る。
私やハリーたちも見ようと詰め寄ると、紫がかった小さなフワフワしている植物が100個ぐらい並んでいた。
「みんな、耳当てを1つずつ取って」
言われた通りに耳当てをとる。
本で読んだことがあるし、ビルやチャーリーに教えてもらったけれどマンドレイクの泣き声はそれはもう酷いらしい。
耳あてしていないと大変だと聞いているけれど、どれほど大変なのだろう。
「私が合図したら耳当てをつけて、両耳を完全にふさいでください。耳当てを取っても安全になったら、私が親指を上に向けて合図します。それでは、耳当て、つけ!」
耳当てをつけてみると、音が完全に遮断された。