第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「もしかして君たち、付き合っているのかい?」
「付き合ってないわよ·····!」
「そうなのかい?てっきり付き合っているのかと思ったよ」
私はフレッドから離れようと体を動かしたけれど、フレッドは離すどころか私を抱き寄せている腕に力を込めていて離そうとしない。
逆に力を込めてピッタリとくっつくフレッドに困惑していれば、セドリックが苦笑を浮かべていた。
「どうやら僕はそろそろお暇した方がいいみたいだね。アリアネ、また何処かでゆっくりと話そう」
「え、ええ。また」
どこか残念そうに笑うセドリックは私を名残惜しげに見ながらも歩いて行ってしまった。
その場に取り残された私は、未だに抱きしめたままのフレッドを見上げることなく固まっている。
「あ、あの·····フレッド?離して·····」
「アリアネはさ、俺がどんな気持ちでいるのか分かっているの?」
「·····え」
「俺がどんな気持ちをアリアネに向けてるか」
チュッというリップ音が耳に響く。
耳たぶにキスをされて、柔く噛まれてしまい声が出てしまう。
「んっ·····!?」
「ま、分からないようにしてるのは俺自身かな」
「ふ、ふれっど·····」
耳元で囁かれてゾワッとした感覚に襲われる。
「今日はこれぐらいで許してあげよう!」
するとフレッドは勢いよく私から離れて、意地悪そうに深い笑みを浮かべていた。
そして首をほんの少し傾げてから私を見つめる。
「俺をちゃんと意識してくれなきゃ、困るよ。お姫様」
「·····それ、またお得意の冗談なの?」
「さあ?冗談なのか、はたまた冗談じゃないのか。どちらかなのかは俺のみ知っている」
「何よそれ·····」
本当に分からない。
フレッドが私に好意を寄せているのか、寄せていないのか分からないくて困る。
「早く授業に行かないと、遅れちまうぞー」
「あっ!!もう、フレッドのせいよ!!じゃあね!」
「またな。お姫様!」
私はフレッドと別れると廊下を走りだす。
温室まではそこまで遠くないから助かったと思いながらも庭を横切っていく。
温室まで急いで走っていれば、温室近くでロックハートとハリーの姿を見つけた。
「ん?ロックハートとハリー·····?」
しかも温室の3号室の所にいるので、いつもの1号室の所じゃない所にいることに首を傾げた。